ち ょ っ と す て き な 依 頼 っ て
池 嵜 繁 伸

 話すこと・聞くことの学習指導で大切なことは、相手意識、目的意識を自覚させる場や状況の設定である。
 日頃 子どもたちは、自らの話し言葉についての自覚はない。したがって、生きた場での自らの言葉のひびき方にも気づいていない。このような実態の子どもたちに臨場感を持って、話すことに関わってほしいと考えて実践したのが「ちょっとすてきな依頼って?」である。

(1)依頼を電話でする学習活動
 臨場感を持たせることに効果があるだろうと考えて用意したのが電話である。
 「総合的な学習の時間」の活動として地域の人にお願いして職業体験をするという展開の最中であったので依頼については 子どもたちの切実感があった。
 自分の体験したい職業の人に、直接、子どもたちに依頼させるという方法の一つに電話を取り入れて場を設定した。
 代表グループが自分たちの希望する保育園へ電話をした。

 C もしもし、わたしたちは、城陽小学校の5年生です。保育園で体験したいのですがお願いできますか。
 H えっ! 何のこと。どういうことですか。
 C 今、総合学習で勉強しているのですけど。

    
 このような相手との対話の様子を他の子も聞けるような場にして状況や相手を考えて、もし、自分だったら、どうするかについて、考えさせた。
 自分の思いをどのように伝えるかを話題にして考えさせる場として緊張感があり効果があった。
 ・相手の人にわかってもらうことの難しさ
 ・電話という場での話の仕方
 今までに分かっているつもりに思っていた自らの話し言葉を見直す機会になった。

(2)依頼をテーマにロールプレーをする学習活動
 参観者を得て学習活動をするという場で、ロールプレーを取り入れて話すこと聞くことの学習活動を行った。
 電話の時に気づいたことを生かし、条件として「職業体験について依頼をする」ということにした。参観者にはあらかじめ、すぐに快諾をしないようにとお願いしておいた。
 C 職場見学をお願いします。
 H 今は、忙しいので後で。

 一度 断られるという状況設定が、子どもたちに多様な考え方をさせることになり効果があった。
(彦根市立城陽小)