主 題 を 考 え て (1)
吉 永 幸 司

 春が過ぎて 夏が来ました。
 葉っぱのフレディは この春 大きな木の梢に近い 太い枝に生まれました。

(レオ・バスカーリア作 みらいなな訳「葉っぱのフレディ」童話屋)

から始まる物語を読みの授業に活用した。
 文章を深く読むというより「感想を話し合う」ということを目的にした授業である。
 教材としての価値はフレディが、生きるとは何かについて、死と関わらせて考えていることが、子どもの心にふれ、主題について話し合えるのではないかと考えたからである。

(1)読み聞かせから感想の発表
 絵本の特性から読み聞かせから始め、感想の話し合いを主な学習活動にした。最初の子どもの感想 は、物語の印象が多かった。
 ○夏はすごく楽しそうだったけど、冬はみんなと別れなければならないので、かわいそうと思った。
 ○生き物はどうして変化をしなくてはいけないんだろう。どうして死ななくてはいけないんだろう。
 ○フレディはダニエルに教えてもらってよかったな。命を大事にするってことがどうすることか分かった。
 感想は、フレディの死に対する同情のようなものも多かった。感想という問いが子どもの心にある思いを引き出しきっていないのではないかと考え、次のような発問をした。

(2)心に残った場面や文を話し合う
 「お話を聞いて、どの場面や言葉が心に残っていますか。」
 多くの子が最終の場面をあげた。


 フレディがおりたところは雪の上です。やわらかくて 意外とあたたかでした。引っこし先は ふわふわして居心地のよいところだったのです。フレディは、目を閉じ ねむりに入りました。

 フレディの一生に幕を引く場面が鮮烈な印象になっていたらしい。
 この部分をもう一度読み返しながら様子を想像させた。「雪・やわらかい・居心地がいい」などの言葉からイメージすることを少し話し合わせ、このような気持になったのはどうしてかについて話し合いを広げた。
 子ども達の内容理解が主観的にならないために、展開の概要をまとめながら、もう一度読み味わいたい部分を見つけさせた。

(3)自分の言葉で読みを表す
 「命を大事にしたから」という子の発言が授業の主流になり、命を大事にするということはどういうことかを考えさせた。
 抽象的な話にならないために「フレディが命を大事にしていると思う場面」を話題にした。ここで子どもなりの発言が生まれた。(以下次号)
(大津市立仰木の里小)