教え合ってつくる音読学習
岡 嶋 大 輔

 今年度から、教科書がかわり、掲載されている教材文も新しくなったということで、子どもも教師も新たな気分で新学期をむかえている。
 3年生の教科書のはじめに載っている文章は工藤直子さんの作品「すいせんのラッパ」(東京書籍)。すいせんが池の周辺のみんなにラッパの合図で春の到来を知らせるという話。いろいろな性格のかえるが、表情豊かに冬眠から起き出し、それを、ありたちが見ておしゃべりしたり話しかけたりするのである。
 ちょうど学校の回りの花壇にもすいせんがたくさん咲いているので子どもにとって身近に感じられるであろうし、すいせんやかえる、ありたちの会話文は、楽しく、優しいもので、子どもはとても気に入った様子を見せた。

 この学級は、ほとんどの子が音読が好きで、大きく元気な声で読むことができる子が多い。そこで、さらに、楽しく音読ができるようにと、みんなで次のようなめあてを持つようにした。
○地の文は、場面の様子の一つひ とつが、聞いている人に分かり やすいように音読する。
○会話文は、それを話している登場人物の性格や気持ちが、聞いている人によく伝わるように音読する。
 音読を聞いている人に、よく分かったよ、上手に工夫しているねと、ほめてもらったら、それが音読の楽しさにつながることも話した。また、誉めるところをさがしているうちに、自分の音読の上達にもつながることを話した。

 音読を始める前に、どの場面を音読したいか決め、それぞれの場面でAグループとBグループに分けた後、どの部分を読むか話し合って分担し、自分の音読の専門の部分を決めた。
 練習は、AグループとBグループで違う部屋に分かれ、教え合いながら練習するようにした。
「この読み方と、この読み方、どっちがいい?」
「そこは、もっと大きな声のほうがいいのとちがう?」
「ここは、もっとたくさんで言おうか。」
「1行空いているところは、3秒ぐらい空けたら?」
など、作戦会議にも似た話し合いが行なわれ、たくさんの工夫やアイデアが飛び交う。

 音読発表会の本番は、次回の授業参観日。子どもどうしで、良かったところを見つけ合うことはもちろんのこと、参観者にも、音読に関して子どもを誉めるように、協力してもらおうと考えている。
(甲賀町立佐山小)