巻頭言
移 行 期 に 向 け て
西 谷 則 一

 昨年12月、教育先進地である滋賀県を訪れました。昭和58年度文部省海外教育視察団の一員として、一緒に行動させて頂いた西澤先生との久しぶりに再会と、新指導要領改訂に伴う教育課程の編成・総合的学習・学校評議員のあり方を求めての一人旅でした。
 縁あって、吉永先生より原稿依頼を受け、四国香川の地から情報を発信したいと思います。

 全国で最も狭小な面積の香川県ですが、瀬戸内気候として温暖少雨・晴天の日が多く、讃岐三白といって塩・砂糖・綿の栽培が有名でした。ただ、昔から讃岐ひでりといって、よく水不足におそわれることが多く、治水と新田の開発に滋賀県の先人、近江商人の多大な支援をいただき、生計を立ててきました。今も全国で有名なため池の数を有し活用しています。
 現在は、四国四県のお互いのメリットを生かした連携により、ダムの建設と治水・有効利用を推進して香川県民だけでなく、四国の人の生活も大きく変化しました。また、本州と四国を道路で結ぶ瀬戸内海三橋時代が到来して、産業や生活面で大きな飛躍がなされてきています。

 さて、香川の教育現況についてですが、平成14年度新指導要領にそった教育課程の編成と学校週五日制の完全実施に向けて、217小学校がそれぞれの学校の特色を生かし模索中です。これまでの香川では、とかく認識論を重要視し、教師の指導の論理が強かったのですが、子供に視点をおき、また、発表のための研究にならないよう、各校が子供や地域の実態・学校の伝統や特色を生かしながら、借り物でなく自前で、地道に息の長い教育実践を積み重ねていこうとしています。

 ちなみに、本校では「子供一人一人がわかる、お互いの人権を重視した、より主体的な教科学習」を大切にし、教科学習で培った学び方や個性・能力に応じた人としての幅広い生き方チャレンジを総合的な学習として進めていこうと共通理解し、子供の意欲・関心度や学びの方向を探りながら、試行錯誤して移行期となる次年度への準備をしている状態です。
 「教育は人なり」と昔からよく言われていますが、教師の教育姿勢のあり方とともに、家庭や地域の人的環境を整備・活用し、さらに子供の目が輝き、活躍する姿をいろいろな場面で見かけたいと願っています。
(香川県豊中町立上高野小学校長)