意 気 に 感 ず ・ 鹿 児 島 大 会
伊 庭 郁 夫

 生まれて初めて、鹿児島の地を踏んだ。桜島は、想像以上に大きく、鹿児島の情は想像通り暖かかった。 そして、心に大きく三つのことが焼きついた。

 その一つは、1日目の分科会である。私は、「話す・聞く」に強い関心を持っている。鹿児島の船津先生の「対話のよさを生かしたスピーチ」は、興味深かった。「質問する人がいたのでとてもスピーチがしやすかった」「話している人が困っているときに、話しやすいと思ったことを質問した」という能動的な子どもの態度が印象的であった。そして、この背景には、船津先生ご自身が隣接学級のS先生の質問を受けながらの対話を実践してみせるという粋な計らいがあったのである。

 また、滋賀の夏原先生の「話す力を育てる年間プログラム」は、大変緻密なものであった。「国語科通信を出し、授業の初めに読む」「教材づくりは、自己づくり」「中学生との出会いは、明るく楽しく」等、心意気が伝わってきた。また、年間プログラムをもとに、すべて実践されたというその息の長い取り組みに、地道で系統的な努力の大切さを学んだ。

 第二は、シンポジウムである。
 須田先生の話された「生きる力」の考え方の背景が、20年前のユネスコにおける「未来の学習」につながっているという話は鮮烈であった。
また、滋賀の森先生から「言葉で振り返る態度や学習習慣を培うこと」の重要性の指摘があった。
「総合的な学習の時間」に言語の力をつける教科としての「国語科」の果たす大きな役割を今更のように感じた。鹿児島経済大学の北川先生が、最後にまとめられた中の「総合的な学習は、教科を見直す機会」を心に刻んだ。「自ら課題を見つけ…」を、今一度各教科でどのように実践していくのか、自分の取り組みを洗い直したい。

 第三は、鹿児島県人の心意気である。私は、大会前日大阪南港からフェリーで九州へ向かった。宮崎から、JRそして市電と乗り継いでの会場到着であった。しかし、そんな長旅の疲れも鹿児島の懐かしい顔ぶれにお会いでき、元気が戻ってきた。懇親会での、和田会長の「対話」を生かしたスピーチでも疲れが癒された。つい、昼間の分科会「対話を生かしたスピーチ」の実践報告を思い出した。挨拶は苦手と言われながら、今でも心に残る粋なものであった。

 最後まで親切にして頂き、感謝の気持ちがいっぱいつまった鹿児島大会。ありがとうございました。
(安曇川町立安曇小)