巻頭言
言 葉 は 大 切 。 で も …
岡 本  茂

 雪降りて 君が歩みし あとを追い

 つい、うちの校長先生の影響で浮かんでしまいました。
 でも、君が歩んでいった後から雪が降り追いかけて行ったのでしょうか。それとも、雪が降ってきたので、思わず心配になって後を追ったのか。君が出ていった後、ふと外を見ると雪が降り積もっている、心配になって君が残した跡を追って行ったのでしょうか。我が子、彼女、夫を失って間のない母、誰への思いなのか。
 それとも、雪が降り積もっていく様子を見ながら、亡き父の人生に思いをはせているのか。
 とにかく言葉はむずかしい。一人ひとりの同じような言葉に込められた思いや人生はもっと理解しがたいものでしょう。

 教育改革の流れの中で、こんな学校にしていきたい、という思いがみんなにあっても、それを理解し合うには膨大な時間的な保障がなければむずかしいように思います。しかし、仕事を離れた日常会話などを通じてある程度の人間関係があれば、理解できる、あるいは推し量れる部分も増えていくように思います。
 世間が不況からの脱出にあえぐ中、学級崩壊・不祥事など学校への風あたりも厳しい状況です。
 こんな時だからこそ、学校に何が求められているのかと同時に、将来の社会を担う子どもたちをどのように見守り育てていくのか、全教職員一丸となって考え、自らの“特色ある学校づくり”に取り組むことが望まれています。
 そして、今日を乗り切るためにも職場の輪・和が必要なのも事実だと考えます。

 一言に込められた思いをどれだけ受けとめることができるか、「一を聞いて十を悟れ」。父の口癖が蘇ってきます。未だに子どもの思いを受けとめられない未熟な親であり教師であることを恥じるばかりです。「だから、教師にだけはなるなと言っただろう」と続けて草葉の陰から聞こえてきます。
 ひょっとしたら父親という権威への反発、対立してばかりいた自分は、基準を父に置いた生き方しかしてこなかったのかもしれません。これからは、彼の生き方を活かす中で、自分を活かしていくことになりそうです。
(大津市立仰木の里小学校)