国 語 科 の 充 実 に 向 け て 〜 3 つ の 提 案
森  邦 博

 「新しい国語実践」の研究会鹿児島大会のパネルディスカッション「総合的な学習の時間に生きる国語科学習」のパネリストとして参加した。

 私は三つの視点から提案。
 一つ目は、「既習学習を生かす指導計画の構造化・複層化」。
 これは、かつて6年生の国語を担当していたときに担任の先生方と「今年の6年生は全員卒論を書いて卒業式を迎える」と共通理解して実践した年のことをまとめたものである。単元の関連を図り、「既習学習の成果と課題をつぎの学習の導入時、子どものめあてに活用」する指導計画である。卒論を書き上げた子どもの後書きに、「ぼくは一つの大きな山を越えた」とやり遂げた感激を綴っていたことが印象に残っていたからである。前の学習での成果を生かし、自分なりにやり遂げたと言える学びの満足感こそつぎに生きる力となる。

 二つ目は、「求めて学ぶ学習」作りである。
 4年生の「一つの花」の指導で提案した。毎時間子どもに「今日学んだこと」書かせ続けた。子どもは毎時間書く中で、相互の感想を関連づけるようになったり、読みの変化に気づくようになったり、分かってきたこと、深く読みとっていきたいことを整理するようになってきたのだった。自ら学ぶ構えができたときに本当の「自ら学び・自ら考える」学習活動が始まるとすると、子ども自らが学習課題を作り出すまで、つまり「学習の導入をこそ大事」にする学習者の側に立った指導への転換が求められるという提案である。

 三つ目は「学習成果の強化」。
 短作文の授業の4月「作文は好きですか」と尋ねたところ、元気よく「きらい」と答えた子ども達との一年間の作文指導の評価をまとめて提案した。
 1学期の終わり、4月と比べての感想には、「できること・分かることが増えた」と振り返った子ども達は、2学期末には「作文にも色々あることに気づいたり、学習を生かして他の作文にも挑戦した」と書いた。さらに3学期末には、自分の作文の力の伸び、作文学習への思いの変容を自分の言葉で綴るようになった。
 子どもが学習で伸びた、力をつけたと振り返れる時、つぎにはこうしよう、こんなこともやってみたいと意欲を持つことを確かめたのだった。
 国語科学習が生きるためには、日々の国語科が子どもにとって充実したものに工夫する必要がある。

 パネリストの機会を与えていただいたことに感謝し、子どもの言葉学びの充実に向けて今後も努力したい。
(大津市立仰木の里東小)