生 き て 働 く 力
北 島 雅 晴

 第4回「新しい国語実践」の研究会が鹿児島の地で開催された。第1日目の分科会では、「読むこと(説明的文章)」に参加した。

 小尾俊彦先生(山梨大学教育人間科学部附属小)のご提案。テーマは、「情報発信を目的とした読みの学習」。「体を守る仕組み(光村4年)」において学んだ「文章を構成する力」を生かして、自分で文章を書くという学習展開になっている。
・教材から筆者の論の進め方や表現の意図をとらえ、そこで学んだ文章構成等を生かして自分で文章を書く。
・その一方で、教材を読んでさらに調べてみたいことを見つけ、図書資料を使って調べる。自分で書く文章は、そこで調べたことが題材となる。
 説明文をただ読むだけでなく、そこで学んだ力を生かすことができており、子どもにとっても読む必要感をもって学習に臨めたと考える。「何のために要点や要旨をとらえるのか」「文章構成を考えてどんな力がつくのか」といった素朴な疑問をもっている子も多いのだが、今後、目的をもって読む学習を進めていくヒントを与えてくれる実践であった。また、学習の進め方が分かりやすいので、安心して学習が進められる。

 迫圭吾先生(玖珠町立北山田中)のご提案。テーマは、「説明的文章を批判的に読み取る学習活動の展開」。「マスメディアを通した現実世界(光村国語三)」を読み、メディアという話題について関心を高める。地元のニュースを取り上げた新聞の記事を数社用意して、その違いを読み比べる。その地域を実際に訪れ、インタビューをする中で、実際に体験したことと新聞記事とを比べる。このような学習を通して、批判的に読む力を育てようとしている。
 いくつかの新聞記事を読む中で立場の違い、取り上げる視点の違い等を見つけ、一つの出来事においてもいろいろな事実があるのだと気づくことは、批判的な読みを含めた読みの豊かさにつながると考える。地元の記事を取り上げたので、生徒の学習への関心も高かったであろう。
 生活の場では、大部分の文章が説明文と言える。説明文を特別なものと考えず、生活とつながりをもたせて考えることが大切であろう。

 研究会2日目の朝、各分科会の記録が出来上がり配布された。昨日の間にまとめ、印刷していただいたのだろう。生きて働く記録であり、実行委員の方々の温かいご配慮を感じるひとこまであった。
(草津市立草津第二小)