▼「日本一短い母への手紙」が多くの人の心を捉えたのを契機にその後、類する企画が行われた。インターネットで教育を検索していたら「親への手紙」と言うのが見つかった。ある出版社が公募したもので、親への恨みが述べられている。かなりの長い文章で、自らの生きた歴史を綴っていた。

▼投稿した息子や娘がこのような形で親を見ていたなんておそらく、両親は知らないだろうし、読んだら辛いだろうなとも思った。こんな形で言葉を使ってほしくないとも思ったが。

▼「あなたの思い通りに育てられたおかげで、私には自分の意思がありません。お人形です。このことに気が付かなければ一生幸福でした。私の周りであなたの気に入らないものはすべて排除してきました。持ち物から友人彼氏まで。そのお陰で私は他人との距離がとれず、友人がいません。」「小学生の時はイイコだった。おこられるのがこわくて、イイコでいなきゃいけないと思い込んでたんだ。でも中学生になってから、こんな自分はイヤだって思って変わってみた。髪を染めたんだ。そうしたらみんなが、イイね。カッコイイね。って話してくれてすごくうれしかった。もうこれで、何も言えない自分から離れられるって思った。」

▼厳しい言葉の連なる文であったが。本当の愛とはなにか。子どもと人格者として向かい合う大切さを感じさせられた。(吉永幸司)