巻頭言
感 動 は 人 生 の 窓 を 開 く
畑 山 敏 則

 私と吉永先生との出会いは、国語の著書を通してでありますが、直接先生を拝見しましたのは、平成6年の日本国語教育全国大会のときでした。筑波附小の4年生の児童を前にして、説明文「季節とわたし」のすばらしい授業をなされたのです。この日はとても暑い日で、私は、青木幹勇先生と黒板の近くの前で参観していました。このとき、青木先生が、
「この教材は、本当にいい教材だなあ。」
と言われ、私もすぐにそう感じたものです。今も時々、短い教材ではあるけれど、日本人の心としての季節感を大切にしているので、私も近いうちにあらためて実践したいと思っています。

 次に、先生と親しくお話しできたのは、昨年12月の「新しい国語実践」の研究会の折でした。会場は、富士山がよく見える河口湖で、分科会や懇親会、そして帰りのバスでもとなりに座らせてもらい、貴重なお話を聞くことができました。先生からいただいた「さざなみ国語教室」や「大地」などは、その実践のすばらしさをひしひしと感じるものでした。先生のもとで、学んでいる国語教師がうらやましいかぎりです。

 さて、昨年11月に大阪で、野地潤家先生のコスモスの詩の授業を拝見する機会がありました。野地先生は4つのすてきな詩を子どもたちに紹介されていました。どの詩も暗記されており、その中の一つが50行以上の詩だったと思いますが、よく暗唱されて、イメージ豊かな授業をされていました。私はこのことからも、吉永先生はきっといつまでも、自分の国語教室を後輩のためにもやられるのだろうなと、野地先生と結びつけてしまいました。

 先生は滋賀県の大津市。私は青森県八戸市で仕事をしていますが、生まれは岩手県の花巻市の近くです。あの宮沢賢治の故郷で、今教師をしていて、賢治の多方面でのすばらしさを子どもに出会わせたいといっそう思っています。
 最近テレビで、母校で授業を行う「課外授業」を見ていて、やはり教師ではかなわない魅力をここに感じている一人であります。椋鳩十が「感動は、人生の窓を開く」と語っているように、私も吉永先生と出会えて、先生の魂にふれあい、人生の窓を開いたように思い、感動している次第です。
(青森県福田小学校)