メ ッ セ ー ジ カ ー ド
伊 庭 郁 夫

 NHKの話し方講座や幾つかの研修会に参加する機会を得た。その中に、2学期の授業展開のヒントがあった。その一つが「メッセージカード」である。
 人前で話す機会はあるが、果たしてうまく相手に伝わっているのだろうか。そんな時、メモ程度で相手にメッセージを送るのである。
 子ども達は、40日余りに及ぶ夏休みに多くの体験をしたはずだ。
 その体験を発表する場を設定した。今回の特徴は二点である。
 (1)できる限り、実物や写真などを持ってきて紹介しながら話す。
 (2)まず、班で発表の機会を持ち、自分のスピーチを改善して学級全体でもう一度スピーチをする。その時、前述の「メッセージカード」を利用する。

 9月1日、私は段ボール箱をかぶせた重いものを子ども達の前に差し出した。
「これ、何か分かるかな。」
「メダカや。水槽の大きさと同じやから。」
「その通り。みんなが夏休みを送っている間、子メダカを私の家で育てました。どんなに大きくなったか見てもらいましょう。」
「ワーッ。色がついてる。大きくなった。」
「実はね。半分のめだかは池にいるんだよ。」
などと言いながら2分位のスピーチをした。
「夏休みの思い出を今のように、紹介しあいたいと思います。できれば、実物や写真があると分かりやすいね。」と付け加える。

 翌日には、化石、手作りパン、旅行のパンフレットや写真などを手に班別のスピーチが始まった。
 スピーチが終わると「話し方で工夫していたところ」「気をつけるともっとわかりやすくなるところ」をお互いにメモしあう。
「パンの作り方や食べたときの気持ちなどがよくわかった。」
「言葉がはきはきしていて、とても聞きやすかった。」
「キャンプの写真を持ってきて、とてもくわしくわかった。」
「もうちょっとゆっくり言ったほうが、わかりやすかった。」
「声をもう少し大きく、ファイト。」
など、子ども同士のメッセージが書き込まれていた。

 学級全体のスピーチの時も、同じようにメッセージカードのやりとりをした。
 しかし、中には人前に出ると言葉がうまくでない子どもがいる。そんな時は、インタビュー形式に切り替えた。
「実はね、すごいている体験をしているんだよ。」と、切り出す。そして、夏休みの作文の中から「ジェットスキー」を取り上げ、言葉のやりとりをする場面もあった。
(安曇川町立安曇小)