モ デ ル と 発 展
岡 嶋 大 輔

 私の学校では、体験活動でつくる横断的・総合的な学習の工夫に取り組んでいる。
 その中で、私の担任する4年生のクラスでは、社会見学旅行をきっかけにして、ゴミや水などの身近な環境問題に関心が集まり、それを大きな軸として学習をすすめていくことにした。
 学区を流れる川の生き物を調べて汚れをみたり、学区のポイ捨てゴミの状況を調べたり、子どもたちはそれぞれにテーマを持ち、自分なりにできることを考え、取り組んでいった。

 最終的に、学習の成果を発表する際、子どもが学習したことや考えたことをよりうまく表現できるために、『キョウリュウをさぐる』(光村4年上)という説明文を使って授業をした。
 子どもの主な活動は、教科書の挿絵や写真をスクリーンに写し出し、それをさし棒でさし示しながら解説するというもの。なるべくメモ書きなどを見ないで、挿絵や写真をたよりに発表することにした。
 まず、書かれている内容やそれぞれの段落の要点を理解し、グループの中で誰がどう解説するかを話し合った。そして、本番までにどんなことを準備したり練習したりすればよいかを実感として分かるために、模擬的に発表会を開いた。
「解説しながら、分かっているようで分かっていなかったことがあった。」
「頭では分かっていても、どのように言ったらいいのか迷ってしまった。」
「スクリーンのほうばかり向いて、なかなか、聞いている人の方を向いて話ができなかった。」
など、それぞれ、自分の課題を明確にすることができた。
 グループごとに、練習、反省、話し合いを繰り返していくうちに、しっかりとした形になり、本番もそれぞれが満足できた発表会となった。

 しばらく後、1学期のしめくくりとして、自分たちが調べた身近な環境についての発表会を行なった。また、練習、反省、話し合いを繰り返しながら発表の形を作り上げていくようにしたが、今度は、実物を提示しながら解説したり、聞き手に質問しながらの形式で解説したりと、工夫が様々に出てきた。
 『キョウリュウをさぐる』でやった発表をモデルとしながら、話し合いの中で、よりよい発表の形を作り上げていく。教えた通りで終わらない子どもの前向きな姿勢が授業を発展させていくことを実感した。
(甲賀町立佐山小)