リバーウォッチングをきっかけに
伊 庭 郁 夫

 「総合的な学習」を取り込みながら、特色ある学校づくりを進める一環として、リバーウォッチングがある。6年間をかけて、安曇川の下流から上流までを歩き通し、身近な安曇川を見つめ直そうというものである。
 5年生は、朽木村の市場から大津市の梅の木までの約12.7キロメートルを歩き通した。その中で、流れや水の美しさの違いなどに気づいていった。また、鯖街道を意識しながら歩くことで、歴史を感じる場となった。更に、朽木村漁業組合の協力でニジマスの手づかみや塩焼きを体験することができた。

 さて、県の国語部会で吉永先生から「国語の力がなければ総合的な学習が成功しない」という趣旨の話があった。いかに体験したことを音声や文字で表現するかがポイントになってくる。
 この話を受けて、リバーウォッチング後の表現活動に取り組んだ。大切にしたことは、「伝えたいこと」を中心にして、考えを主張できることである。
 リバーウォッチングの途中で、各自2枚の写真を撮った。安曇川の上流の様子を残し、まとめるときの参考にするためである。この写真をもとに、歩いた行程や川を観察して気づいた点を整理する。

 次に、リバーウォッチングをきっかけにして、行く前と行った後で考えがどのように変わったかをメモする。子ども達の着目した点をみると、大きく3点が挙げられる。
 1つ目は「鯖街道」に着目したものである。小浜から鯖を塩漬けにして京都まで運んだ道が鯖街道である。その看板が市場の中にいくつも発見できた。インターネットを利用して、発表のための資料を収集することもできた。
 2つ目は「魚と水産業」に着目したものである。1人1匹ずつニジマスをつかまえたため、90匹をこえる魚がいなくなった。その点を切り口に、社会科の増やす漁業・養殖に目を向けていくことになった。
 3つ目は「環境問題」についてである。上流の水が大変きれいであったことが多くの子ども達の心を捉えていた。そこから、ゴミ問題や家庭排水の問題に着目するようになった。また、家の近くを流れる川と比較したり、親子でゴミ拾いをした体験を思い起こしたりと考えが広がっていった。

 これらの「伝えたいこと」を効果的に発表できるように、ポイントを考えたり、発表原稿作って練習したりした。また、写真や地図などの活用にも目を向けた。
(安曇川町立安曇小)