▼開かれた学校の大事さが提言されて久しいが、道は遠い。「日本の学校教育は、本当に大変な状況にある。夜遅くまで激論するテーマは、きっと他にあるにちがいない。いじめ、学力不振、意欲低下、不登校、暴力、学級崩壊その他、子供たちを本当に豊かに育て上げるための方策を練らねばならぬテーマは満ちあふれている。」これは卒業式を前にして死を選んだという痛ましい事件に関わっての識者の論評。卒業式をどう迎えるかの職員会では、夜中までのところがあることに応えたもの。

▼学校を開くと地域との連携である。例えば研修会。地域主催のものは教師にとって学ぶ機会も多い。学校外の方とそれほど数多く共に学び合う機会はないのでチャンス。多くの場合、出席率はそう高くはない。これは一例だが類似することは多い。

▼識者の指摘は続く。「それにしてもこわいのは、教育現場の良識の欠如である。ある意味で学校とは閉鎖空間であり、密室に近い雰囲気をもつ。世界の良識や国際化感覚、そして社会通念を受け入れない雰囲気をもつ。自校のみしか通用しない価値観の領域をつくりやすい。だが、これは間違いだ」と。子供は、まぎれもなく社会で生き、地球の上で生きていく。その価値観に背を向ける学校教育に明日はなかろうと厳しい。(吉永幸司)