わ た し の た か ら も の
中 嶋 芳 弘

 1年生も残すところ3ヶ月となり、自分の思ったことを自分の言葉で話すことのできる子が多くなってきた。一方で、わかりやすく話をしたり、声の大きさなど相手を意識して話すことの苦手な子も少なくない。また、どの子にも聞くこと(聞く態度や内容を聞き取る力)について課題を感じる。こうした力は、コミニュケーションの基礎となるものである。

 ここでは、「わたしのたからもの」をみんなに話すという場を設定した。
 自分の宝物を思い起こさせ、「自分の宝物は何か」「どのように自分の物になったか」「なぜ、それが自分の宝物なのか」を聞き手にわかりやすく話させるようにする。「わたしのたからものは、〇〇です」で終わってしまう子もあった。「どうしてたからものなのか」が分からない話し方になっている子もあった。

 録音テープや教師とクラスの友達の対話を聴かせ、どのように話せばよいかをつかませたり、小グループの中で質問をしあってゲーム的につかませていく方法も効果があった。話すことの苦手な子も小グループの中で、友達や教師に支えられて話すことができた。声の大きさや発表の姿勢などについては、ゲームを取り入れ、意欲を喚起して自分にあった声の大きさや姿勢をつかませるようにもした。

 また、聞き手には話し手の宝物を教えてもらうことのすばらしさを活動の中で知らせるようにした。話を聞くときの支持的姿勢のを体得させることが必要だからである。また、相手が答えたくなるような聞き方を考えさせもした。発表がどうであろうとしっかりと聞き取るという聞き手の姿勢を指導することはこの時期の子どもに大切な指導事項でもあると考える。

 「たからもの」というのは、みんなに自慢したいもの、とても大切にしているもの、みんなに見せてあげたいもの、思い出のこもったもの。仲良く「たからもの」を見せ合い、紹介しあう活動の中で、子どもたちは、互いに言葉を掛け合っていくことのあたたかさ、楽しさに気付いていった。

 最後の時間には、クラスのみんなの前でお話会。子ども達は、
 ○大きな声でしっかりと話せるようになった。
 ○伝えたいことを決めて話せるようになった。
 ○話す人のほうをむいてしっかりと聞けるようになった。
 ○もっと知りたいことを言葉を選んで質問できるようになってきた。
と、少し自分の力を伸ばした。
(彦根市立稲枝東小)