ノートの下に自主勉強欄を作らせてみたら
森  邦 博

 5年生で国語科の授業をした。その1時間目。
 ノートの使い方を指示した。ノートを上三分の二と下三分の一に分け、下には「自主勉強をしなさい」と言った。反応がない。そこで「どんなことやるかわかる?」とこちらから質問をしてみた。案の定、「なにをしたらよいの?」という表情が返ってきた。ちょっと待つことにした。

 すると、そこはやっぱり5年生。「漢字の練習」「言葉調べ」と、反応する子どもも出てきた。「そうだね」「いいことだ」と肯定的に返事をして頷いていくと、少し安心した表情である。経験のある活動だからだろう。
「ほかにどんなことができるかな」と、続けて考えさせることにした。再び挙手のない時間数十秒間の後、やっと「漢字を使って短文作ったらよい」という発言。思考が停滞気味。

 そこで、「自主勉強だからなにをしてもいいのです。一人一人違う勉強のコーナーにしますよ」と言葉をつなげた。子どもに中には「そんなこと言われても・・・」と顔を見合わす姿も見られた。
「ほかにも、調べた言葉を使っての短文作りができますね」
「そのほか、杉みき子さんのほかの本を調べてみるのはどうですか。きっと何か発見があると思うよ」
「読んで印象に残った表現を抜き書きして感想をメモしておくのもいいですよ。先生はよくこうして本を読んでみます」
「気になる言葉や関係しそうな言葉を並べていくのもいいよ。きっと後でつながりが見つかってくるよ」
「登場人物へのミニ感想文なんかもできそうやね」
と私が考えつく活動を話していった。(情報過多で消化不良を起こしそうだなと、今は反省している)
「やってみようと思う人?」と挙手を求めると、八割方の手が上がったのだったが中には義理挙手も・・・。

 つぎの時間から数時間は、はじめに自主勉強の紹介場面を作っていった。
 そんなある日の昼休み、Uくんが、「杉みき子さんは雪の話が好きなのかなあ」と話しかけてきた。自主勉強で本を探してみてそう思ったのだそうだ。
 またある日、インフルエンザで休んでいたKくんが、「先生、視写してきた」とノートを渡しにきた。見ると全文をノート四十数ページにわたって視写している。最後に、<明日まさえはわらぐつをはいていくだろうか?はいていくといいな>と短い感想が添えられていた。
 こんな子どもの持った感想や思いを学習に生かしたいと思った。
(大津市立青山小)