続 ・ 求 め る 心
吉 永 幸 司

 教材「宇宙の仲間を求めて」(5年)を、読書に向けての意識を高めるものという設定とした。
 読書を「1週間に30分以上はしている」という問いにNOとする子が半数以上とすれば、少なくとも「読みたい」という気持ちを持たせるのが肝要と考えたからである。つまり、ここでいう「求める心」は読書への興味である。
 次のような文がある。
そこで、まず、長さの決まりや計算の仕方を示しました。次に、太陽や太陽を回る惑星のこと、それから、地球や地球上の生物をかたちづくっている物質、続いて、人類が誕生するまでの生物の進化の様子や現在の人類のすがた、そして、最後に、わたしたちからの親愛のメッセージをえがくとというように、順序も工夫しました。
(1)「まず・次に・・・」を手がかりにしたとを確認する。
 (2)したことの内容を予想し、予想出来ないことを自覚する。
 (3)「どうしたのだろう」「なぜだろう」を合い言葉に読み返す。
 (4)今までの自分の考え方の傾向の偏りに気づく。

 このことを、子ども同士の話し合いでなく、教師と子どもの対話で確かめる。
T ここに書いていることを、今まで考えたことがありましたか。
C ありません。
T わたしもそうです。でも、考えてみると、ずいぶん、普通では考えられないことを考えたのだと思いました。
C 普通で考えられないから面白いと思った。
T あなたは、これを面白いと思ったのですね。すごいね。
この進め方は、文章の内容を確かめるというより、「面白い」を引きだすものであった。
T この文を読んでいて、どこで、「どうしたのだろう」「なぜだろう」「ふしぎだ」というように心が動きましたか。

 授業は滑らかに進んだのではないし、どの子もが同じように考えた訳ではない。が、少なくとも、気楽に文と対話をしていたことは確かである。

 宇宙人と話をするというとんでもない考え方との出会いは、子ども心を大きく捉える。世の中には、色々な考え方があり、捉え方があるという発見にもなる。「もし、宇宙人の存在が明らかになったらとしたらどうでしょう」って問われても、答えようがない。しかし、何となく面白そうだ。「こんなことを考えて、どうなるのだろう」「でも読んでみたい」「知りたい」と複雑に揺れる心が見えてくる。「求める心」はこの揺れであろう。
(大津市立仰木の里小)