「 つ く ば 」 で 得 た も の
高 野 靖 人

 昨年の11月17日から、終業式の行われた12月22日まで文部省の「中堅教員研修」のため茨城県つくば市の国立教育研修所で過ごした。36日間の研修である。
 一昨年度、大津市の長期派遣研修で1週間富山市で学んだことはあるが、1ヶ月以上の研修は初めての経験である。また結婚以来、これだけ長期にわたって家を空けたこともない。
 もちろん研修が第一義ではあるが、その間生活をするための準備も必要である。出発前は、必要な荷物を選んだり、手荷物と宅配便とに分けて手配したりと、結構慌ただしかった。

 しかし、「案ずるより生むが易し」というように、研修が進むにつれて、研修所の宿泊棟が我が家のような気分になっていった。それは、研修所が生活面で配慮され改善されている点に加えて、寝食を共にしていた仲間の支えがあったからに他ならない。今回は、全国から295名が集結したのだが、特につながりが深かったのが、フロアの16名(写真参照)、学習班の25名、県人会の7名である。
 フロアとは、いわゆる生活班のことである。まさに、寝食を共にした仲間といえる。ほとんど毎夜、自分たちのフロアに集まって、情報交換を行った。北は山形、南は鹿児島と広範囲の交流なので、肩の凝らない話をしていても、各地のお国柄や方言、生活や意識の違いを知ることができた。もちろん教育事情や実践の交流も行った。その中には、「総合的な学習」の先進的な取り組みをされている先生(フロアの仲間)を講師として、学習会を催した一夜もあった。

 フロアの交流が主に夜の交流とすれば、昼間に教育事情や実践を交流し合ったのは、学習班の面々とであった。学習班での活動は、演習(教育課題・法規)が中心だが、心に残っているのは、教育指導研究である。教育指導研究は、メンバーが事前に用意したレポートを順次発表していくもので、発表者以外に司会・物言い役・ほめ役という役割があり、それぞれ決められた時間を守って発表するものである。また、全員がコメント票に、評価と意見を書き、発表者に渡す。フリートーキングの時間もあり、レポートを発展させた情報交換もできた。特に印象的だったのは、本校の校内研究とも関係する「体験的学習」や「地域の人材活用」に関する発表だった。
 全部で31あった講義からも、学ぶ点は多かった。大きな教育改革を控え、二十一世紀へ向けての提言が多く、記録を読み返しながら、少しずつ消化したいと思っている。特に、企業や社会教育関係者からの提言が新鮮だった。

 閉講式の挨拶で、前畑研修所長は、「この研修は、即効性はないが、数ヶ月後、数年後に効いてくる」と話され、「この研修で結ばれた全国へのパイプを大切にしてほしい」と結ばれた。今、研修仲間からの年賀状を読みながら、所長の言葉を実感している。
 フロアの仲間とは、今年、鹿児島で再会する。
(大津市立比叡平小)