お 楽 し み 会
岡 嶋 大 輔

 学級のまとまりをさらに強くするために、また、レクリエーションの意味も兼ねてお楽しみ会を計画した。
 プログラムを考える段階からみんなで考え合い、盛りだくさんの内容となった。その中で、出し物のコーナーがあり、自分のしたい出し物ごとにグループを作った。
 クイズ、手品、お笑い、劇などさまざまなグループができ上がり、それぞれ意欲的に準備、練習を始めることができた。

 ただ、劇は2年生にとって難しいのではないかと一抹の不安を私は持っていた。台本はどうするのか、道具はどうするのか、観客に楽しめるものに仕上がるかどうか。しかし、子どもたちの自信に満ちた顔を見ている内に、まずくなったときに口を出そうということを心に置いて、静かに見守っていることにした。
 するとどうだろう、子どもたちの練習風景には驚かされることが多かった。大筋の話の内容を短時間で話し合い、セリフを一つひとつ吟味しながら積み重ねるように考えていく。その目は真剣。
 さらに、本番の数日前になると、何度も通して練習する姿がある。誰もが声をはっきりと出し、感情をこめてセリフを言っている。何よりも驚いたのは、普段はおとなしくて恥ずかしがり屋に見えたD子が、堂々とセリフを言っていることだった。

 1年生の時に、担任の先生が音読に大変力を入れてくださったという。普段からも、音読のうまい子どもたちだと思っていたが、このような場面でも基礎基本が生きているのだと感じた。
 2年生になって、「ふきのとう」「お手紙」を劇化し、登場人物になりきって演じたり、いろいろな言い方を試したりしてきた。その時に付けた共通の力が今につながっているのだと思っている。
 しかし、何と言っても子どたちが普段から築き上げている人間関係の親密さがあるからこそ、何かを任されたときにバラバラにならず協力できる。そんな雰囲気が高まって、D子も抵抗なく生き生きとした声が出せた。

 いよいよ本番。題名は、「あわてんぼうのサンタクロース」。内容は、クリスマスが過ぎてもなぜか毎日プレゼントを贈ってしまうサンタクロースの話。観客も、演じている子どもたちも、ほのぼのとした楽しい気持ちになれるひとときとなった。
 そしてD子。お楽しみ会が過ぎても毎日はつらつとした声をみんなにプレゼントしてくれている。
(甲賀町立佐山小)