校 歌 に 親 し ま せ る
吉 永 幸 司

 入学式の時、6年生が「校歌紹介」を1年生にした。「こんなに素晴らしい校歌です」と胸を張っていた姿がまぶしかった。2ヶ月経ったが、校歌を歌う機会はなかった。新興の住宅街という特色もあり、愛校心を育てたいという気持ちを持ったので、校歌に注目をする機会があった。が、子ども達と校歌の距離の遠さを感じた。そこで、愛校心を育てるきっかけにしたいという素朴な気持ちから、校歌を教材に授業を進めようと考えた。(4年の実践)
 校歌の一番は次のようになっている。

  比叡の山並み仰ぎ見て  琵琶湖のほとりにひらけゆく
  胸躍らせる学舎は    明るい我らの
  仰木の里小学校

 学習活動の概要は次の通り。
@「仰木の里小学校の(   )」を提示し、(  )に思いつく言葉を書く。
A(    )に「校歌」を記入し、校歌の歌詞(覚えているところ、あるいは、言葉)を書く。
B校歌の一番の歌詞を提示して意味を考えさせる。
C校歌の一番の歌詞からイメージをすることを絵に表す。
D学習の感想を書く。

 この学習活動の意図するところは、校歌の歌詞の意味を考えたり、歌詞を構成する語に関心を持つということであった。
 先ず、学習活動@では「先生・こども・教室・運動場」のような学校の構成要素から「あひる・花・ドッチボール・一輪車」というようなものまで出た。しかし校歌は出てこなかった。このことがかえって「校歌」に強く心を向けるという効果になった。

 学習活動Bは丁寧に展開をした。
T:一番を読んで、分からない言葉はどれですか。
T:仰ぎ見てという字は「仰木の里」の「仰」と一緒ですね。
等と働きかけ、歌詞の言葉に注目をさせた。
C:比叡山が見えるところにある。
C:明るいは気持ちがよい。
等の感想を話し合わせた。特に次の言葉は補足した。
T:昔は、山と言ったら比叡山のことを指していたのです。比叡山は、日本の代表的なお坊さんが勉強をしていたところです。修行と言うのですよ。だから、学問をするところ、人間を作るところでもあるのです。
T:琵琶湖は滋賀県だけでなく、大阪や京都の人に水を送っているのです。水は命の源です。「母なる琵琶湖」とも言われているのです。
というように語句を印象づけて説明をした。

「私たちの学校は良いところにあるのだな」「転校してきたとき、みんなが優しくしてくれた。校歌のとおりだった」と感想を書いていた子の言葉が印象的だった。
(大津市立仰木の里小)