悪餓鬼日記帖:なにぃ、文句あっか!

04.05


2004.05.31:

上司からメールで呆れた仕事を頼まれた。「のぞみシステム」のデータ処理進捗から、グループ内各メンバーの仕事が進んでいるかどうかを調べ上げて、遅いヤツの尻を叩け、というものである。
私にはそのような悪趣味はない。そこでメンバーには「データは送るが尻叩きをやるつもりはない」と連絡した。もちろん上司には内緒である。
仲間内で相手を吊し上げたらどういう結果を招くか、この男はまったくわかっていない。それに部下の仕事量や能力を把握して配分するのは上司の役目ではないのか。時としてこのような発想をする彼は、当然内外からも評判が悪い。
当然のことながら私は「のぞみシステム」のすべてのデータを見る権限を、SEに次いで持っている。データを分析することなどおちゃのこさいさい。そのためのツールもあるし、誰がどんな仕事をやっているかも調べたらわかる。だからといってそれを覗き見る気もないし、ましてやそれをネタに個人攻撃をやる考えなどこれっぽっちもない。
個人のプライドを傷つけても平気でいられるようになったらおしまいだ。コンピュータシステムはそのような目的のためにあるのではない。

2004.05.30:

日本人ジャーナリスト2人がイラクで殺された。大変悲しい事件である。特に橋田さんはベトナム戦争での取材で生き抜いてきた人だが、イラクのテロリストにはジャーナリストであるかどうかはどうでも良かったようだ。それほどイラクの治安は悪化しているということの証拠なのだろうが。
今回は政府も「自己責任」とは言わない。外務省が「渡航しないように」と繰り返しただけである。
戦争報道には常に危険がつきまとう。「大本営発表」だけに頼らないでおこうとすると、危険を顧みず実際の現場へ乗り込むリスクがつきまとう。その意味では、ボランティア同様「自己責任」が問われる。だから無責任なことはできない。一方でリスクがあるからと躊躇したら取材はできない。だから悩んだ末の決断となる。
救出や遺体引き取りに金がかかるから、というみみっちい論理と脅しをはねのけ、我々は気骨のあるジャーナリストがいたことに誇りを持って良い。

2004.05.29:

九州、四国、中国が梅雨入りと宣言された。例年より早い。
近畿ももうすぐだろう。湿度が次第に上がってきているような感じがする。明日は雨だろう。そして梅雨入り宣言をした途端に晴れの日が続くのも、これまた例年通りだ。

2004.05.28:

来月になると更改のPC10台が職場に入る。Windows98のサポートがいずれ切れるので、積極的に変えろというお達しが出たからである。
そこで若手で最近世話役になったT君とU君が私に相談にやってきた。曰く「古いのは誰に回しますか?」
ずっと前にも書いたことがあるが、ここの職場は伝統的に「お下がり」の悪しき習慣が抜けない。若手もかなり汚染されている。他人が使った中古マシンを押し付けられる人がどれだけ不愉快な思いをするか、理解できないようだ。それに他人のマシンは微妙に設定が違うから使い辛いものだ。
そのあたりを彼らに説明して、古いものはリース切れまでの予備マシンとすることに決めた。但し、3台だけは「のぞみシステム」のプリンタ駆動用Windows95と入れ替えることにした。

2004.05.27:

昨年末に会社最寄の駅が改装され、その後駅前ロータリーの建設工事が続いていたが、間もなく完成するようだ。見た感じでは来月終りくらいか。
近辺はまだ駐車場と駐輪場だけしかなく、殺風景そのものである。店らしきものは影も形もない。人が良く出入りする駅前だというのに、何か不思議な光景だ。
そう言えばベルリンのポツダム広場駅を思い出した。地上に上がるとビルばかりで、やはり殺風景だった。

2004.05.25:

今日は月に一度の医者通い。去年から酒が多くて血糖値もヘモグロビンA1cも上がり、医者から怒られていたが、今月はかなり抑えた結果、少し数値は下がった。
初めて書く話だが、昨年会社から業績給の提案があったとき、私の給料は5万円以上も下がる計算になった。30年勤めてその結果がこの仕打ちかと憤りを猛烈に感じた。辞めてやろうかという思いと、辞めて解決する問題かという思いが自分の中で激しく衝突した。それを誤魔化す手段として酒を使った。それが病状悪化の発端である。
最終的には2万6千円の賃下げ、かつ2年の猶予付きとなったが、その事実が私の記憶から消えることはないだろう。
他にもえげつない話はあるが、それはまた別の機会に書くことにする。

2004.05.24:

小泉首相の訪朝について、あれこれや批判と前向きな評価が入り乱れている。私自身は「全てが無駄だった」という結論には反対である。
確かに行方不明の10人についての進展はなかった。だが、北朝鮮がでたらめの資料を見直すことにさせたことは決して無駄ではない。
はっきり言って北朝鮮には国際外交の基本がまったく理解できていない。そういう意味では子供と同じだ。だが、少しづつでもテーブルに向かわせて、きちんとした交渉をやる、これが大切である。たとえ成果は少なくても約束事は実行してもらう、そうでなければ先へは進めない。
行方不明の10名の方々の家族にとって、今回は非常に辛い。見た目には成果はない。そのことに怒りを感じるのはやむを得ないことだ。これほど長い年月にわたって放置してきたのは明らかに政府の責任。そして北朝鮮に対してそれまで敵視し、外交ルートすら模索してこなかった態度は反省してもらわねばならない。今やっとそれがわかってきたようだが、まだ足取りは遅い。
しかしそのことをもって「何もしていない」とまで言い切れるだろうか、という疑問が私にはある。
一方で小泉首相が「私が行かなかったらどうなっていたか」と居直り気味の発言をしているのはおかしい。こういう脅しに似た発言は彼独特のものだが、不愉快だ。自分の行動を批判されたのなら、真面目に見解を述べるべきであって、反論を拒否するような物言いはおかしい。

2004.05.22:

久しぶりに外へ出て、田舎道を歩いてきた。やはり足が痛い。トシだから多分明後日が最も辛いだろう。

2004.05.21:

ノーツデータベースのひとつが私に任されることになった。工場で使う各種装置・部品の受け入れ管理である。大きなものは直径5mもあるベアリングから、小さなものはボルトに至るまで、あれこれ手配したもののデータを「のぞみシステム」から抜き出して専用DBに移すのである。そして種々の管理データを付け加える。もちろん私が手配した品物も含まれている。
何故私にそんな仕事が回ってきたかと言うと、データの移し替えのためのソフトは私しか持っておらず、また「のぞみシステム」のデータ構造を理解して、どの項目を抜き出せば良いかを知っているのはこれまた私だけだからである。
ノーツDBの管理ははじめての経験。アクセスできる人の権限設定作業もあるから、結構気を使う。慣れてくるまで少し時間がかかるかも知れない。

2004.05.19:

「E−コマース」が次第に増えつつある中、ウチの会社でも似たようなことを開始したが、思わぬことに気付かされることとなった。
それはかなりの数のウィルスメールである。当然と言えばそうなのだが、社外との窓口担当者があまりの多さにびっくりしたという。もちろんアドレスは専用のものにしているため、他のアドレスに飛び火することもないし、サーバーにウィルスメールを叩き落す仕掛けがしてあるので安心できるのだが、相変わらずNetSkyなどが飛び回っているという事実を目にして、改めて驚いている。
とにかくメールアドレスを世間に晒すと、必ずウィルスが飛んでくるというネットの現状には、何か考えさせられるものがある。6年前、私が初めてネットに繋いだ当時からウィルスは存在したが、四六時中ウィルスパケットが流れるような事態は予想できなかった。

2004.05.17:

年金の未納議員の数が100人を超え、さらには今日、民主党の小沢氏が義務化以前の未納を理由に党首選挙に出馬しないことを決めた。
この異様な事態の中、厚労相が「未納者の名前をタレ込んだヤツは処分する」と、変な方向に矛先を向けることもやってのけようとしている。
ここまで来たら結論はひとつ、「年金法案は白紙に戻せ」ということだ。世論調査も過半数がそのように答えている。
ところで、マスコミも触れないある事実に気付いた。
それは1986年の年金義務化の時のことである。未納議員の多くが気付かずに未加入になっていたことだが、それなら自治体の担当局から督促あるいは警告の連絡があってもおかしくない(税金なら必ず来る)。しかしそれは行なわれなかったようだ。というのも、25年以上の年金加入があって初めて満額が貰える仕組みにすると同時に、25年に満たない場合は年金額が減額されるため、本人が気付かなければ知らない間に減額されてしまう、つまり支給額が減る原因は加入者の側になるよう、意図的に仕組んだことである。これほど狡猾なやり口はない。
こういった仕掛けを放置したまま国民に痛みを押し付けるのは許せない。さらに審議している議員には特権的議員年金がある。保守系議員の場合はさらに企業の経営している人も多く、年金の額がどうなろうとほとんど痛みは感じない。こんな人たちに庶民の老後の生活費を左右されてはたまらない。
年金改悪法案は即刻廃案せよ!

2004.05.14:

仕事の内容が変わって、今までほとんど付き合いのなかった現場たたき上げの人と話をした。
このおっちゃん、あちこちで嫌われているのだが、今日は私に頼み事があるというので、彼のいる薄暗い小部屋に招待された。難しいことではないのだが、いい加減な仕事をしないようにという釘刺しである。
彼の最大の難点は「口は災いの元」である。
真面目で仕事熱心、とここまではいいのだが、他人にまで自分のような完璧さを要求し、それができないと相手を罵倒してしまうのである。おまけに余計な一言、「あんたは俺より高い給料を貰っていてその程度か」みたいな厭味を付け加えるのである。確かに彼は中卒であることから苦労した。それは何人も認めている。ところがそれを自慢してしまうし、他人は皆自分より仕事もできない、だから仕事は自分を中心に回っているという「天動説」を、ちょっと腹が立つ出来事があるたびに垂れてしまうのである。これでは確かに煙たがられる。
で、今日はそれほど説教はなかった。逆にコーヒーをご馳走になった。私は殆ど反論を加えるようなことはせず、正しいことだけに耳を傾けた。まず他人の意見を受け入れ、それから次第に自分の意見を出していくのが、こういう癖のあるキャラに対しては必要である。
どうやら今日は誰かと喧嘩したらしく、相当むくれていたが、私に話をすることで少しは落ち着いたようだった。

2004.05.12:

今朝は通常どおりの出勤だったが、昨日のSasser騒ぎで念の為セキュリティーパッチを入れるようにとこちらの事務所でも指示が出ていたらしい。
職場世話役のM君(昨年私より引き継いだ)が「指示があったので入れてもらえますか?」と言ってきた。もちろん私のWindows2000 SP4はとっくの昔にパチ当てをしてある。私はいつも出勤前にセキュリティー関係のページを見、新しいものはCD−RWに入れて会社のマシンへインストールする。だから本社情シスがセキュリティー情報を流す以前にパッチが入るのである。そんなことをM君に話すとびっくりしていた。
最近になって彼もわかってきたようだが、昨年彼の自宅マシンをXPに変えた途端、ウィルスに感染して慌てたという。CATVの固定IPでモデムのみ、当時ファイアーウォールは設定せず、セキュリティーパッチも知らなかったから、あっという間に餌食になった。
だが、彼はそれで勉強したという。私もそうだが、痛い目に合うと真剣になる。

2004.05.11:

「のぞみシステム」拡張版のために、昔の事務所に出向いたら、Sasserウィルスが侵入したらしく、会議の資料をスクリーンに映すためのPCがLANに接続できなかった。お陰で午前中会議はスローペース。午後には回復して何とか議題をこなしたが、いやはや困ったものだ。
そして今日のニュースでは、Sasserに感染したPCに対する攻撃の可能性が出てきたという。Winnyの作者が捕まったことといい、ここしばらくネットに関する騒然とした話題が続いている。

2004.05.08:

Sasserウィルスの作者が捕まったようだ。容疑者はドイツ北部に住む18歳の少年。
とりあえずは沈静化の方向に動くだろうが、世間では感染PCがまだまだ多い。連休明け、会社の方はどうなっているかと思ったが、ガードが非常に堅いサーバーに守られているし、感染モバイルも持ち込まれなかったので、極めて平穏だった。だた、個人ベースでは感染の話を聞いた。というかPCが何度も再起動するので変だな、という程度の認識しかなく、これでは救いようがないというレベル。マイクロソフトのウィルス対策サイトを教えておいたが、こういう人がいる限り、ウィルスはゼロにはならない。

2004.05.07:

「未納三兄弟の長男」こと福田官房長官が辞任したが、どうも「食い逃げ」の感じがして仕方がない。
というのも、年金改悪法案の付帯決議を民主党を巻き込んで合意し、自らの役割は終ったこと、そしてまだ辞任していない菅代表の足を引っ張るためということになろうか。
もちろんそこには国民のことなど頭にはない。
付帯決議にある「年金制度の見直し」という言葉、私は消費税導入の時の「直間比率の見直し」という言葉とダブって聞こえる。「見直し」という言葉の聞こえはいいが、何をどう見直すかについてはまったく触れられていない。つまり良くなるのか、はたまた悪くなるのかという点は曖昧にされたままである。それを包括して今後の課題とするとしたのだから、当然悪い方向も含まれるのであり、おまけにそれを今後国会で審議するという約束をしたのだから、それは拘束力を持つ。
逆に決議がなければ、良い方向も犠牲になる恐れはあるが、少なくとも悪い方向の論議に入ることは困難になろう。そこは「直間比率の見直し」という火種を残し、消費税の導入に道を開いた手口とまったく同じである。その同じ「見直し」という言葉を民主党は丸呑みした。というか、彼らはマニフェストで消費税増税を公約したのだから、当然の帰結なのだろう。
これほど国民にとって不幸な決議はない。
共産党までが未納議員を出すことになって、「国会は何をしてる」という声が上がるのは当たり前だ。だが、官房長官辞任に目を奪われて、議員年金に庶民とはかけ離れた金額の国庫負担があること、また肝心の負担増・給付減の年金改悪法のことを忘れてはならない。また、見直し論議に含まれている「一元化」で誰が得をするのかを見失わないことも大切だろう。
マスコミはまったく触れないが、財界は一元化と同時に厚生年金の企業負担分を減らそうとねらっているからである。

2004.05.06:

とうとう三菱ふそうの元幹部が逮捕された。食品だけでなく、クルマもモラルハザードの病気に冒されていたことになる。食品は人間の生命にかかわることだが、だからといって他の業界が清廉潔白であるは言い切れない、それほど蔓延しているということだろう。
並行して、浅田農産の社長も「会社を守るため」と言ったという。
いずれも、人命よりも会社最優先という、倫理の破壊が行なわれていたことの証拠だろう。それがモラルハザードを生み出し、ついには自らの破滅に繋がっていったと考えられる。よしんば無意識であったとしても、未必の故意による殺人と見なされても仕方がないものである。
それゆえ、もし無意識であったとしたなら、それは常に意識を呼び起こすようなルールにしなければ歯止めがきかないということになるのではないか。つまり法的規制である。
悪徳商法でもそうだが、日本の法規制はアメリカと似て「金儲けのじゃまはしてはならない」という考え方が優先されているために、問題が起こっても立法化などの動きが極端に遅い。そのあたりの発想を転換することも必要ではないだろうか。

2004.05.05:

連休も今日で終わり。
連休中にマウスの右ボタンが破損(クリックに反応せず)し、安物だが新しい光学式のもを買った。これでゴミ掃除から解放される。
それにしても私のような大きな手に合ったものは非常に少ない。マウス以外でも靴と靴下は大きいサイズになると種類が限られる。若者では私くらいの身長は珍しくなくなったのだが、それでもまだ少数派のようだ。
世間ではsasserウィルスで大騒ぎになっている。TVニュースでも大きく取り上げていた。明日、出社して大騒ぎをする人はもっと増えるだろう。もちろん私は自宅でも会社でもとっくに対策済みである。息子は、先月25日にウィルスで痛い目に合ったのを覚えているのか、ニュースを見て私に「大丈夫か」と聞いた。チャンスだと思って、ルータによるファイアーウォール、Windowsのセキュリティーパッチ、ウィルス対策ソフトの3点が重要であることを説明した。息子はまだそのあたりには疎いから、彼のXPマシンに対するセキュリティー対策は私が全部取り仕切っているのだが、いつ卒業させて貰えるかはまだ不明である。

2004.05.03:

新緑の季節になった。山は、ブロッコリーの上に黄緑色の砂糖をまぶしたような風景である。連休の真ん中で沢山の観光客が六甲の山を上がっていく。
今日は憲法記念日だが、改憲賛成、反対の人達がそれぞれ集会を開いていた。しかし、考えたら肝心の政府主催の式典をやったというのは殆ど聞かない。本来なら新憲法を祝ってもいはずだが、やはり「押し付け憲法」を祝う気にはならないことが反映しているのだろう。
不思議な国だ。

2004.05.01:

イラクで人質なった3人の内の2人が記者会見をした。TVに出ていた部分だけを見た印象だが、彼らは自分たちがやった行動を自覚していると同時に、その役割をきちんと捉えているように見えた。
いい加減な気持ちではできない、危険と隣り合わせであることも知っていたようである。だから運転手の言葉を信じて出かけた。しかし、予期しない展開になり、恐怖の日々が続いたことはあくまで偶然であったのである。
彼らの発言は事実上の「個人責任論」に対する批判になっている。
最近の種々の発言の中で、「勝手に雪山へ行って遭難し、助けを求めるのはおかしい」というのがあるが、これに対する反論として「雪山に遭難している人たちを助けに行ったのに、誰かが雪崩を起こしている」というがのがあるそうだ。
彼らは今後も助けを求めている人たちのために身を挺して活動するだろう。周囲の人間は彼らが活動しやすい環境を作るべきであって、危険にさらすようなことをしてはならない。