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ドライイースト併用で失敗なし?!自家製酵母であこがれのふんわり食パン♪ ~準備編~ 記事登録日:2014/06/17
最終更新日:2014/06/17
 
巷には、酵母を自分で起こしてパンを作るためのノウハウ本が数多くありますね。
「自家製酵母でおいしいパンを焼きたい!」
小麦粉の産地や副材料に気を使う人なら、一度は願う野望(?)ではないでしょうか?
かく言う私もかれこれ8年近く、自家製酵母とお付き合いをしています。
その間中断もありましたが、10冊以上のレシピ本・関連書籍で精進を重ね、知識を積み上げていった結果たどりついた結論は、
「趣味でたしなむ程度の素人が、自家製酵母のみでパンを焼くのは、果てしなく、厳しい道のりである」
ということ。

現在では、 自家製酵母のみでの製パンは、 あきらめました。

それでも!
失敗を重ねることで、いろいろな経験をしましたし、成功させるべく習得した知識が、ささやかながらありますので!
僭越ながらこの場を借りて、ご披露させていただきます。
「イースト併用でもいいので酵母を育てる楽しみを味わってみたい」と言っていただける、
懐の深~い そこのアナタに、 このページを贈ります(笑)





  レーズン酵母液  
  元種  
  ビタミンC溶液  






レーズン酵母液   出来上がり量/酵母液約100ml
材 料
 レーズン 50g    オイルコーティングされていないものを選びます 
 水 150g    浄水器を通した水道水がベストらしいです 
 グラニュー糖 小さじ1   
     
   


自家製酵母のパンづくりは、まずは酵母液作りから。

上記分量は新しく一から酵母を起こすときの分量。
レーズンと水の量は、実はテキトー、もとい、お好みで結構なのですが、比率としては「レーズン:水が1:3」というのが一般的です。

そして、一度起きた酵母液を種継ぎする場合には、はじめてのときよりもレーズンを減らして作ることができます。
私が種継ぎするときには、レーズン:水を1:6とし、水150gにつきグラニュー糖を小さじ1ほど添加、残っている酵母液を大さじ1程度加えて発酵させています。

分量的に基準やMyルールがある方が仕上がりが安定する安心感はありますが、前述の通り、レーズンや水の量はあくまで目安と言いますか、結構いい加減で大丈夫みたいです。


酵母液作りの詳しい手順については他に詳しいサイトがたくさんありますので、そちらを参考にしていただくとして、ここでは私流の酵母との付き合い方と酵母液について思うところをご紹介させていただこうと思います。


酵母液作りの参考にオススメのサイトはこちら!

 - CUOCA レーズンエキスの起こし方と元種の作り方(太田幸子さんのレシピ)

 - 今日の酵母くん レーズンを使った自家製天然酵母(レーズン酵母)の作り方


 作り方 
 
材料はレーズン、水、グラニュー糖

今回参考にしている写真は強い発酵力が得られるというグリーンレーズン

ただ、産地には色々と問題を抱える地域が多いようなので、商品選びは慎重に

また、酵母起こしに使うレーズンは鮮度にも気をつけたいもの
少量パックは高く付きますが、使いきりできてその点でも便利



瓶の煮沸消毒等、酵母作りの基本的な手順を踏んだ後、瓶にレーズン・水・グラニュー糖を入れて良く混ぜます

この後、レーズンが浮いて液全体から盛んに泡が出るようになるまで直射日光の当たらない暖かい場所に置いておきます

はじめての酵母起こしであれば季節にもよりますが1週間程度、種継ぎであれば3日程度かかるかと・・・

酵母起こしの容器はスクリューキャップの広口保存瓶が好まれますが、私はエキスを注ぐ際にも便利な調味料びんを愛用しています



上の写真は前回起こした酵母液を入れて作る「種継ぎ」の様子
ですので、レーズンに対する水の量が多め(レーズン1に対し水6)になっています
また、前回の残りの酵母液を加えたのですでに液が濁っています

この場合のグラニュー糖ですが、水150gにつき小さじ1を目安に加えています


このように長時間かかる作業には100日まで計れる長期間タイマーがおすすめ!
作業にかかっている時間が一目でわかるので便利



と、まあ、以前はグリーンレーズン酵母で製パンしていまして、このサイトのページもそちらを中心に作りかけていたんですが、今ではすっかりカレンズ酵母にシフトしてしまいました

写真はカレンズ酵母の種継ぎの様子です
左の瓶は新しく仕込んだカレンズ酵母
真ん中が前回の残りの酵母液
右のミルサーにかかっているのは前回の酵母作りで使ったカレンズの残りを少し水を足してペースト状に挽いたものです

この酵母ペーストで塊豚肉を漬けこむと肉質がやわらかくなり香り良く仕上がるのでお気に入り



こちらは酵母液や元種を発酵させている様子

酵母の発酵は室温でじっくり、でも問題無いとは言いますが、何らかの温度調節をしてやる方が失敗が少ない気がします

夏場以外は写真のように電子レンジの庫内を温室として利用

湿度高めの30度くらいにするため、熱湯を入れたカップを置き湯たんぽを敷いています

湯を入れたカップはそのままで入れておくと庫内が結露して水浸しになるので、ずらしぎみに蓋をして湯気が出過ぎないように調節



暖かい時期の液種継ぎの場合、3日もあれば上の写真のようになります

私的にはこれで酵母液は出来上がり

レシピ本によっては、レーズンが液状に完全に浮き上がるまで発酵させる、とか書いてあるんですが、傷む前にそんな風になった経験が無いので、これで良しとしています

出来上がった酵母液はほんのり甘い薄めたぶどうジュースのような味で、ほのかに炭酸様の舌を刺すピリピリ感があります

酵母は糖を栄養源とするらしいので、液がほのかに甘い状態であることは保存の上で重要みたいです





出来上がった酵母液の保存は、もちろん冷蔵庫で。
エサ(糖分)を与え続ければ、結構長持ちします。
我が家では少し甘さを感じる状態をキープしつつ、二ヶ月くらいかけて使用し、種継ぎをする、というのを繰り返しています。

密閉した状態で放置すると炭酸ガスがたまるので、時々は蓋を開けてガス抜き&空気の入れ替えをしてあげるのを忘れずに。
力が強すぎる酵母を密閉したままにしておくと、瓶が破裂することもあるらしいのでご注意!


さて、さて、
私と自家製酵母との付き合いは、途中中断した時期もありますが、かれこれ8年近くになります。

その間、下でもご紹介しているe-パン工房さんや、自家製酵母について詳しく解説されている方のページを参考にさせていただいたり、レシピ本や製パン技術本、専門情報誌の特集等々いろいろと読み漁ったり(もちろん現在も継続中)、まあ、自家製酵母についての情報収集はそれなりにしてきたつもりですが、お恥ずかしながら正直なところ、未だに、まったく、思うようなパンに焼き上がったことが無い、というのが現状です。

そんな私ですが、これらの情報収集を通してわかった(というか、感じた)ことがいくつかありますので、同じように悩まれている方の為に、「家庭での酵母起こしの実際」について、私の思うところをちょっと書いておこうと思います。(以下に書く引用以外の意見はおおむね私の私見・個人的な感想です)


まず、自家製酵母での製パン成功のカギは「力強い酵母液種作り」にかかっていると言われていますが、
その「液種作り」でのポイントは2つ、素材と製法、「何を使って」「どのように作るか」、です。


「素材」とは酵母起こしに使う材料。

酵母はこちらの本(自家製酵母でパンを焼く―四季おりおり)でも紹介されているとおり、わりと身近にある色々な素材から起こすことが可能です。

エストパニスの横森 あき子さんの「自家製りんご酵母で焼くパン」ではりんご酵母が、佐原文枝さんの「おうちでのーんびりたのしむ『自家製酵母パン』の本」ではヨーグルト酵母(レーズン酵母から起こしたヨーグルト種?)が使われていますね。

いずれも人気のレシピ本で、好みは人それぞれですのでお好みの素材で良いと思いますが、私はレーズンから起こす酵母が最も一般的かつ無難であると感じています。

と、言いますのも・・・。
「生の果物から強力な酵母を作る」ことに関してはウエダ家さんの「新しいごはん―野生酵母でつくるレシピ」等で紹介されている方法がオススメなんですが、この本の手順通りにりんご酵母を作ったところ、瓶から酵母液があふれ出るという、かつて経験したことが無いほどに元気のよいものが出来上がりました。
ただ、残念なことに、これほど元気な酵母を使っても、やっぱり私には満足なパンは作れなかったんですね・・・・・。
また、生の果物を使った酵母は焼き上がったパンに腐敗臭(傷んだ果物が持つ独特の風味)が付きやすい気がします。
りんごなどは切って置いておくとすぐに茶色くなりますが、こんな風にサビやすい生の果物を使った酵母だからかな・・・?と。
私のやり方が悪いだけかもしれませんが。

ヨーグルトを常温発酵させて作るヨーグルト酵母も同様で、傷んだ乳製品の臭みのようなものがパンに出るのが気になりましたね。
パン生地の発酵時間が長くとるものほどその傾向は強かったように記憶しています。


と、まあ色々試した揚句、焼き上がったパンの香りや扱いやすさ(酵母が老化する速さなど)の点で、私はレーズン酵母に帰りつきました。

上の写真では強い発酵力が得られるというグリーンレーズンiconを使用して酵母起こしを行っています。
別ページでご紹介しているドライイーストを少量添加して作る自家製酵母食パンで使用しているのもこちらのグリーンレーズン酵母液種から作った元種です。

ただ、我が家の場合(←もしかしたらここが一番重要なポイントかも・・・)、グリーンレーズンを使ったからと言って劇的に発酵力の強い酵母に育ったとは言えず・・・。
いまだに自家製酵母単体では満足な製パンには至らない、と言うのが現状です。

またグリーンレーズン酵母液種は、香りが薄いといいますか、良く言えばクセが無いという事になるのでしょうが、普通のレーズンで作った酵母が持つワインのような風味が無い点が寂しい気がして、現在ではカレンズを愛用中。
発酵力については、これまで扱ってきた酵母と比べてとりたててどうこうという事はありませんが、とにかく酵母液の香りが良い点についてはダントツお勧めの素材です。


次に、「酵母液の作り方」
いかにして酵母を起こすか、について。

使うのは、水道水?浄水?
砂糖は添加する?、しない?
酵母液を起こす瓶のふたは、開ける?開けない?
一日一回瓶を振る?、それとも数回?、または全く振らない?
酵母液完成の見極めは?
出来上がった酵母液、中の果物はそのまま?それとも取り除く?

このあたり、人によって結構意見の分かれるところなんですが・・・

私はと言うと、このそれぞれの、もっともらしい理屈に従って酵母作りを改善し続け、現在に至ります。
が、それほど発酵力に進化は無い、というのが正直なところなので、それを書き挙げたところで参考になるかどうか・・・。

一応の結論として、数ある酵母液作りを参考に、それぞれのいいとこどり?(をしたつもり)で、以下のような作法に落ち着きました。

使う素材はドライフルーツのカレンズ、浄水器を通した水を使っています。
砂糖は少量添加。
一日数回、瓶を振る、というよりは底を軽く振り回して、空気抜き。(強く振りまわすとドライフルーツが崩れて酵母液が濁るため)
瓶のふたは、完全には締め切らず、ゆるくかぶせる程度にしておき、空気抜きの際に蓋を開けて空気の入れ替え。
酵母液は、カレンズが浮き上がり、泡立ちが盛んになったころ合いで完成とし、中にカレンズを入れた状態で野菜室にて冷蔵保存。

とまあ、こんな感じ。
ただ、この作り方で作った酵母液では、自家製酵母単体での製パンには成功していない、というお恥ずかしい現実も併せてお伝えしておきます。

出来上がった酵母液はだいたい2カ月くらいかけて使用しており、イースト併用での製パンには問題無く使えています。
無くなった都度種継ぎをしていて、現在で3代目。
液種は種継ぎを行うごとに発酵力が強くなる、と言う話も聞いたのですが、我が家の場合、あんまり変わんないかな???
ただ、起こした酵母を種継ぎする場合、同じ素材(おなじ種類の果物であることはもちろん、例えばレーズンの場合でも同じ商品を使う、など)を使うほうがより良い結果にはなるようです。


さて、いかに「力強い」酵母を育てるか、理論的な部分についてはこちら↓のサイトがとても参考になります。
- e-パン工房 自家製天然酵母パンのレシピ
         ・ 醗酵力の強いレーズン液種を育てる + 第1回 + 他
自家製酵母のみで、素晴らしいパンを焼いておられるので信憑性がありますよね。
(こちらのリンク先のサイトは、消えてしまった本来のサイトのアーカイブです。)


更に、上にも書いたウエダ家さんが紹介されている酵母の起こし方は一般に知られている手順とは全く違っていて興味深いです。
私にとってのベストな方法ではありませんでしたが、旬の食べ物から酵母を起こすのがお好きな方にはオススメです。




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元種   出来上がり量/約160g+前回の残り分
材 料
 酵母液 20g     
 全粒粉 20g   
 水 20g×3回   
 強力粉 20g×3回   今回ははるゆたかブレンドを使用
 前回の残りの元種    前回の残りがあるときは4回目の種継ぎの時に加える


酵母液ができたら、元種を作ります。

この元種作りも「自家製酵母パン」成功の大きなポイントなのですが・・・。
パン作りが週1~2回程度のアマチュアにとって、この元種の管理が悩みの種になっている、ってことはないですか?

と、言いますのも、比較的長期間安定して保存できる酵母液と違い、元種は「旬」(具合よく使える期間)が短いです。
また、力のある元種を作るにはある程度の量を仕込まなければなりません。
そして、元種の「元気」を維持するためには、定期的な種継ぎ&更新が必要になります。
これがけっこうなプレッシャーになるんですよ(経験談)。
どんどん増える&時間がたつと発酵力が弱くなる、とにかく 「今ある元種を使わなくては!」 という義務感からの製パンは、ホントにしんどかったです・・・。

そこで私がたどり着いたのは、
「力が弱くてもいいじゃん、、使いきれる量だけつくろうよ!力不足はドライイーストに助けてもらえばいいんだから♪」 と、いう考え。

仕込むのは総量約160g。
一回に使う粉の量はオドロキの20g!使用する元種の量が少ない場合はさらに減らして、必要な分だけ仕込むようにしています。

発酵具合の見極めについても、「容器の側面から見て、高さが二倍になったら次の工程へ」とかいう目安は無視。

だいたいの時間で判断して、途中冷蔵庫で休ませたりすることなく、2日で元種を仕込み、パン生地作りへと進みます。
少量残る元種も、次回元種を作る際に混ぜ込んで無駄はナシ。

この方法なら、パンを焼く前々日からの準備でOKなので、計画が立てやすく、初心者にも取り組みやすいのではないでしょうか?

テキトーな感じでゆるーいおつきあい。
ドライイースト併用という、自家製酵母パンと呼ぶには致命的(?)な欠点はありますが、気負わず製パンを楽しめるという点では自家製酵母初心者にオススメの方法です。
(ちなみに、プロの世界でも安定した製品づくりの為に自家製酵母とイースト併用というのはよくあることらしいです)


 作り方 
 
この時は一回目の仕込みにグラハムフラワー(強力粉の全粒粉)を使用しました

全粒粉を使うと、真っ白な食パンには焼き上がりませんが、元種の発酵力は強力粉のみで作るより強くなるように思います

ただし、今回はドライイースト併用の食パン作りに使用するため、元種の強さはそれほど重要ではありません
全粒粉が入るとやはり強力粉のみの場合よりも仕上がりのパンのキメが荒くなるので、キメの細かさを優先したい方は普通の強力粉のみで元種を仕込みます



酵母液20gとグラハムフラワー20gを容器に入れて混ぜ合わせます


で、この酵母液なんですが、オリ(瓶の底にたまっているカスのようなもの)まで使うか、使わないか、と言う話がありますね
瓶を振って濁った液種を使うか、振らないで透き通った液種を使うか、ということなんですが、私は透き通った液種を使う派です
オリが入ると元種にニオイがつくように思うので・・・
おそらく、この問題は個人の好みで選んでOKだと思います
元種の発酵力には関係ない…と思う・・・?



乾燥防止&少ない量をなるべく塊としてまとめるため、写真のように隅っこに生地を集めています

まあこれは、ちょっとどうでもイイこだわりです



発酵は液種作りの項でもご紹介した通り、湿度と温度を高めにした電子レンジ庫内のような場所がオススメです

写真では元種容器が湯たんぽの上に乗っていますが、これは2回目の種継ぎ時のものです
初めのうちは元種生地が少なく、少しの熱でも生地が焼けつくので温め過ぎには注意!



発酵すると、ペースト状の塊だった生地に気泡が入ります
特に、容器の底の部分を見るとよくわかります

写真の状態まで、季節にもよりますが、約30度で4~5時間程度かけています



元種が具合よく発酵したら、ら強力粉と水を足し、すぐに二回目の種継ぎに入ります

よくあるレシピでは、元種を仕込む際、種継ぎを一回行うごとに冷蔵庫で一晩寝かしたりしていますが、私はせっかちなので種継ぎの合間に冷蔵庫で休ませる工程は省いています



写真は3回目の種継ぎが終わったところ

水分の多い生地なので、全体のカサが2倍になったり、と言う事は無いのですが、表面にぶくぶくと気泡が出てきちんと発酵しているのがわかります

2回目、3回目の種継ぎには、上と同じ環境でだいたい3~4時間かけています

私が元種を仕込む場合、ここまでを1日かけて行っています

種継ぎを休む時は、発酵を終えた元種を軽くかき混ぜて泡をつぶしてから冷蔵庫で保管します



4回目、最後の種継ぎ時には、前回残った元種も一緒に加えます

この「前回の残り元種」の消費期限ですが、だいたい1週間くらいなら問題なく加えてもらって大丈夫です

それ以前に仕込んだ種で、安否(?)が気になる方は、少し生地をなめてみて、変な苦みや酸味が出ていないかを確かめてから使用します
特に変な味がしなければ、大丈夫です

生の生地をなめるのに抵抗がある人は・・・潔く捨てましょう



最後の種継ぎ、発酵前の状態です

上記のすべての材料を加え、前回の残りの元種約70gを加えて、約200mlですね

写真では容器のふたが閉まっているように見えますが、蓋を閉めた状態ではうまく発酵しません
かならず蓋を半開き程度解放して、乾燥しないように湿度を高くした暖かい場所で発酵させるようにします



最後の発酵も、冷えてない元種を使う場合は約3~4時間で上の写真程度まで発酵するはずです

前回の残りの元種が冷蔵庫から出したての冷たいものだったり、3回目までの発酵で一晩越して、冷蔵庫に保存したものを翌日使う場合には、生地が冷えてしまっているので、酵母が活動を再開するまでの時間も考えて少し長めに発酵させることになります

私は、一晩休ませてからこの作業に入ることが多いので、この最終発酵にいつもだいたい5時間くらい見ています



出来上がった生地の表面はこんな感じ

細かい気泡がたくさんできていて、スパチュラで混ぜるとフカフカしていて、泡が潰れると一気にカサが減ります

元種の具合の善し悪しは、この泡立ちが一番の目安なのですが、それ以外に香りと味でも判断ができます

出来上がった元種は、使用した液種の香りを少しマイルドにしたような感じで、大抵の場合はいいにおいです

不快なにおいがする場合は失敗です



また、ほんの少量の生地をなめて味を確認する方法もあります
(生の小麦粉を食べ過ぎるとおなかを壊すので注意!!)
元種は粉っぽいですが、何気に旨味を感じる味をしています
酸味や苦みを感じる場合には、これも失敗と言えるでしょう


粉:水分が1:1の元種は、かなり緩い生地です

よくある元種のようなコシは無く、写真のようにトロっとしています




元種の作り方にも色々ありますね。
粉と水分の割合も千差万別ですし、何回種継ぎをして仕込みに入るか、も、人によって違っています。

きっと、より強い元種にする粉と水分の比率、とか、もっとも発酵力が強まる種継ぎ回数、とかいうのも、本当はあるんだと思うんですが、この辺の研究は奥が深すぎて私の手には負えません。

と、いうことで、私の場合、
既存のレシピからの変換が簡単な粉:水分が1:1の元種作りに落ち着きました。

種継ぎの回数ですが、よく見かけるのは3回ですかね?
これについてはなんとなく都合がいいので、私は4回でやっています。
時間の無い時には3回で終わっちゃう、と言う事もあるので、回数については別にこだわりがあるわけではないです。

とにかく、自家製酵母のみでの製パンはあきらめているので、発酵する力の強さよりも、「元種作りに失敗しない」ことに重点を置いて作業しています。
そして、失敗しないためには、とにかく素早く発酵させて仕上げちゃう、のが私が思う最大のポイント。
元種に、酸味が出たり、腐敗してしまうスキを与えない!と言う事です。

ただ、そう考えた時に、一般に知られている元種の作り方で疑問に感じるのが以下の二点。
「季節を問わず室温で発酵させる」
「種継ぎの際、毎回冷蔵庫で休ませる」


まず、発酵時の温度管理についてですが。

前述の通り、元種作りにおける失敗を避けるには、「速やかに発酵させる」、これにつきます。
酵母の特性について、コムズカシイ話は色々ありますが、元種もパン生地も、適正な温度で速やかに発酵さるのが望ましいのは言うまでもないことです。
「外気温が低くても、時間さえかければ酵母は発酵してくれる」、確かにそうなんだと思いますが、冷蔵庫で保存している食品でもいづれは傷んでしまうように、パン生地の発酵においても生地を合わせた時点から、酵母菌の発酵とともにその他の雑菌による腐敗も始まっていると考えるほうが自然です。
「生地の発酵に時間がかかる(→酵母菌の活動が鈍る)」温度帯というのは、パン生地の発酵に有利な酵母菌 「以外の菌」 が活動するに好環境の温度である可能性もあるのですから。
パン生地発酵に必要な菌以外が活発に活動すれば、酸っぱくなったり、苦みが出たり、膨らまなかったりと、パン作りに失敗する可能性は当然高くなります。

酵母菌が活動するのに適した温度は25度から30度と言われています。
これは外気温ではなく、生地の温度ですので、環境としては30度前後の室温が適している、と言えるでしょう。
失敗を避けるには、何らかの手段を講じて、酵母に最適なこの温度帯を提供できる環境を整えましょう。
多少の手間はかかりますが、季節ごとに変わる室温に合わせて、時間の読めない作業につきあうよりも楽ができること請け合いです。

発酵に適した環境を整えるのに、一番お手軽なのは上でもご紹介した通り、電子レンジ庫内に少し熱いものを置いて蒸し暑い環境を作る方法。
他にも、最近のホームベーカリーには生だね起こし機能などがありますので、それを利用することもできますね。
温度設定が可能なヨーグルトメーカーなども使えます。(使用時の温度設定は30度にしています)


そして、種継ぎの際、毎回冷蔵庫で休ませる工程について。

私の手元に数冊ある自家製酵母パンのレシピ本(少し古いものが多いのですが)では、種継ぎをする前に冷蔵庫で中休みを取るパターンが主流です。
「酵母を休ませる」のが目的のようですが、果たして酵母菌は休ませる必要があるのでしょうかねぇ?

酵母菌に休息が必要かどうかはともかく、私が気になったのは、冷蔵庫で休ませるごとに「生地が冷えきって」しまうということです。
生地が冷えると、酵母菌の活動を鈍るわけで、これがまさに冷蔵庫で休ませる目的なのでしょうが、次回の発酵開始時には、生地の温度を上げて酵母菌を起こすところからはじめないといけないわけです。
と、いうことは、生地の温度が酵母の活動に適した温度に上がるまでの時間が、毎回無駄になっているなぁ?と思うわけです。
種継ぎ時に冷蔵庫で休ませることなく水と粉を足していけば、すでに活発に活動している酵母が、すぐに発酵作業に入るので、確実かつスムーズです。
こういう見方をすると、「毎度毎度冷蔵庫でいったん休ませる」という工程は「速やかに発酵させる」という目的においては全く必要性を感じない作業ということになります。
(あくまで私の意見ですが)

ただ、作業時間を調節するために、発酵を止める目的で一旦冷蔵庫保存する、と言うのは、私の中でも、アリです。
現に私の場合、3回の種継ぎを1日目で行い、冷蔵庫で休ませた後、4回目の種継ぎを行ってそのままパン生地作りに入る、というのがパターンになっています。


あと、元種の作り置きについて。

元種は、ある程度の量を仕込む方が安定した発酵力を持つようですが、そうすると、趣味で製パンを楽しむ程度ではとても消費しきれない量の元種が出来てしまいます。
さらに、元種の発酵力を維持するために定期的な種継ぎやリフレッシュなどを行うと、その都度元種は増えていき収拾がつかなくなることも・・・。(←経験者です)

何度も恐縮ですが、私の場合、自家製酵母のみでの製パンはあきらめているので、発酵する力の強さよりも、元種作りに失敗しない、無駄な元種を作らない、負担にならない酵母とのおつきあい、をモットーに、「元種は必要量を作る」ようにして、「出来たてを使いきる」ようにしています。

今回のドライイースト併用で作るこちらの食パンレシピでは、使用する元種145gを用意することが前提なので、一回に40g(粉20g+水分20g)×4回、元種160gができる計算で作業しています。
単純計算で15gが余ることになりますが、これは次回の4回目の種継ぎ時に加えるようにしています。
ただ、この調子で作り続けると、どんどん余り分が増えていくことになりますので、何回かこのペースで元種作りをした後、余り分が増えてきたら、元種を仕込む際の粉と水分を同量ずつ減らして、出来上がる元種の量を調節します。
常に新しい元種の方が古い元種(前回の残り)よりも多い状態で作業するのが(私的には)ミソです。

酵母液も元種も、種継ぎを繰り返す方が発酵力が強まると言いますが、たしかに前回の残りの元種を加えるほうが幾分調子よく発酵する気はします。
ただ、やはり生地の傷みが怖いので、前回の残りに種継ぎし続けるよりは、酵母液を使って新しい元種を仕込む方が私は安心だと思っています。
(その方が、酵母液の消費量も増えますしね。)





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ビタミンC溶液   出来上がり量/約100ml
材 料
 粉末ビタミンC 0.1cc   ビタミンC(L-アスコルビン酸)(富澤商店)を約0.04g
 水 100g   
     
     
   


えー、ビタミンC溶液???たかがシロウトの食パン作りに、そんなん、いる~???
と、思われる方も多いかもしれませんね・・・・・

しかも耳かき一杯くらいの量をコップ半分の水で溶いて、実際使うのは小さじ二杯って、
入れても入れんでも、おんなじちゃうん?
と、突っ込みたくなるアナタの気持ち、よくわかります。

でも!
ほんの少量でも、ビタミンCを添加すると、ふくらみにダンゼン差が出ます。
ビタミンCは特にバゲットを作る際に必須とされる添加物ですが、食パン作りにも大いに役立ちます。

ビタミンCやモルトの役割、添加する量についてはこちらを参考にさせてもらいました。
- e-パン工房 ++ パンづくりのFAQ一覧 ++
         + イースト・ビタミンC・モルト + 他
ビタミンCを添加する理由を知りたい方はぜひご覧になってください。
(こちらのリンク先のサイトは、消えてしまった本来のサイトのアーカイブです。)



 作り方 
 
製菓・製パン用のアスコルビン酸(ビタミンC)
富澤商店で購入
30gで548円也(消費税5%時)

薬局に行けば調剤用のビタミンCが手に入る他、アマゾンなどでも 購入可能です(ちょっと量が多いですが・・・)

製パンではほんの少ししか使いませんが、料理をするときでも「酸味は欲しいがレモンの香りを付けたくない」時に使えるなど、意外に用途はあります



水をきっちり100g計り取ります

この時の水は浄水の湯ざましが望ましいかな、と思います
腐りにくそうなので・・・


0.1ccは小さじ1/50!?
耳かきに軽く2杯くらいですかねぇ・・・?

そんな時に、あると便利なのが微量計量スプーン
1cc、0.5cc、0.25cc、0.1ccの4本セットで少ない量を正確に計るのに役立ちます
写真はそのうち一番小さな0.1cc



100ccほど軽量した湯ざましにビタミンCを投入!



そのままではかなり溶け残ってしまうので・・・



蓋を閉めてひたすらシェイク!!

出来上がったビタミンC溶液は冷蔵庫で保存
理想としては1週間程度で使い切るのがよいそうです



開封したビタミンCは念のため冷蔵庫で保存しています

こちらの商品はチャック式袋に入っているのですが、湿気防止&袋の口部分に余計なものがつかないようにするため、もう一度チャック付き保存袋に入れてから、冷蔵庫保存をしています



こちらはビタミンCとモルトパウダーを添加していない食パン
それらを入れていない以外は同じレシピ&ほぼ同じ工程で作業したものです

ただし、右の写真と比べて焼き色が貧相なのは焼き時間40分と少し短めだったため
(右のパンは55分かけて焼いています)



こちらはビタミンCとモルトパウダーを添加したもの

明らかにパンに高さが出ているのがわかります





ビタミンCの入手先ですが、私は富澤商店(なんば高島屋店)の店頭で手に入れました。
身近なところでは薬局で取り扱いがあるそうです。(JHCなんば店には無かったですね)

溶液を作ったら、保存は冷蔵庫で、1週間以内に使い切ること、と言うのが一応の理想です・・・・。
ただ、上記量で約10回分あるわけで、週2回程度の製パンではとても期限内に使い切らない私の場合、毎回キレイに使いきってから次を作り足す、という形で作ってます。
もっと少ない量で作り、もっと早くに使い切るのがベストなのでしょうが、分量的にはこのくらいでないと計量が不可能になってくるので・・・・・。
我が家の場合を参考にしてもらっていいのかどうかわかりませんが、「私は」こういうやり方で問題無く使えています、とだけ書いておきます・・・。
おあとは自己責任で♪

ところで、製パン愛好家に人気のドライイースト「サフ」には、すでに「VC(ビタミンC)」が入っています。
ですので、一般的な量のドライイーストを使用する場合には、パンの出来を向上させるためのビタミンC添加はする必要が無いかと思われます。
が、今回ご紹介しているレシピのようにドライイーストをごく少量しか使用しない場合は、サフといえどもビタミンC溶液を入れたほうがパンの出来はよくなります。




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