事故詳細

(事故No,20070916a)

 2007年9月16日午後3時40分頃、タイ・バンコク発同国プーケット行きワン・トゥー・ゴー航空269便MD-82(HS-OMG)が、プーケット国際空港に着陸の際に滑走路をオーバーランし、壁や樹木に衝突して炎上した。
 この事故で乗員7名、乗客123名、計130名のうち、乗員乗客計88名が死亡し、42名が重軽傷を負い、うち5名が火傷のため重体となった。乗客の国籍は45名がタイで、78名は外国人(イギリス9名、イスラエル2名、オーストラリア、フランス、オーストリア、オランダ、ドイツ、イタリア、スウェーデン、アイルランド、イラン)であった。
 事故機はバンコク・ドンムアン国際空港を午後2時30分頃離陸し、午後3時50分にプーケットに到着する予定であった。
 事故当時空港周辺は大雨と強風に見舞われて、滑走路上には水がたまっており、視程も悪かった。事故機は着陸態勢に入ったが、着陸復行し、再度着陸を試みた。着陸直前になって再び着陸復行する旨管制官に報告したが、そのまま着陸し滑走路上を横滑りしながら滑走路の脇に外れ、壁にぶつかった後、林に突っ込んだ。機体は2つないし3つに折れて炎上、数回爆発した。
 生存者の証言によると、機内は乗客が非常口な殺到してパニックになったといい、機内アナウンス等は一切なかったという。生存者の多くは主翼上のドアから脱出したと伝えられる。
 タイ運輸省は、17日に事故調査委員会を設置した。ボイス・レコーダーとフライト・データ・レコーダーは17日までに現場から回収された。解析のためアメリカ国家運輸安全委員会(NTSB)に送られる。またNTSBは、調査官を現地に派遣した。
 事故直後、タイ・国家災害警戒センターは、インドネシア人機長とタイ人管制官の間で意思疎通が充分に図れなかった可能性を指摘した。同センターによると、事故直前、管制官は機長に悪天候を伝えず、機長は管制官に着陸に際して指示を仰がなかったという。
 プーケット国際空港は、本件の発生直後に閉鎖され、全便が運休となったため、帰国できない観光客らで一時空港内が混乱した。
 ワン・トゥー・ゴー航空は、オリエント・タイ航空が出資するタイ国内線専門の格安航空会社である。もともとはタイ初の格安航空会社として2000年に設立されたばかりであったオリエント・タイ航空の国内線部門として、2003年12月に運航を開始したが、2006年7月に子会社化され独立した。バンコク・ドンムアン国際空港と地方都市を結ぶタイ国内線8路線を運航し、近隣国や中国への国際線就航も計画中であった。タイ航空の半額程度の価格設定で人気を集めていた。
 プーケット島は「アンダマンの真珠」と称されるマリンスポーツなどで国際的に有名なリゾート地であるが、2004年12月のインド洋大津波で5400名が死亡するなど大きな被害を受け、復興を進めた結果、最近ようやく大津波前の水準まで観光客数が戻り、立ち直ったばかりで、本件の発生は地元社会に大きな衝撃を与えた。
 事故機は1983年に製造された。


(C)2007 外山智士
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