事故詳細

(事故No,20060901a)

 2006年9月1日午後1時45分頃、イラン・バンダルアッバス発同国マシュハド行きイランエアツアーズ945便ツポレフTu-154M(EP-MCF)が、マシュハド空港への着陸時に火災が発生し炎上した。
 この事故で、乗員11名、乗客137名、計148名のうち、乗客29名が死亡し、30名が負傷した。
 事故直後、イラン国営放送が死者数を約80名と伝えるなど情報が錯綜した。また、火災に至った経緯についても、当初は着陸時に車輪が破裂した後、車輪が燃え上がって火災となり、滑走路を外れて停止したと伝えられていたが、その後、着陸時に滑走路から逸脱し滑走路脇の塀に衝突し炎上したとの情報や、着陸時に機体が左に傾いて滑走路を左に逸脱し、主翼が地面に接触して火災が発生したとの情報、火災が機体前部で発生したとの情報、前輪がバーストし機体が滑走路を逸脱したとの情報などが錯綜している。
 火災は消し止められ、機体は主翼よりも前の胴体部分が焼け落ちたが、機首部も胴体後方も比較的原形をとどめていた。
 生存者の証言によると、着陸直前に機体が上下し、接地の際には機体の下から大きな音がした。接地後機体は傾いて地上を滑り、前方から火災が発生したという。
 アメリカの経済制裁の続くイランでは、アメリカ製及びヨーロッパ製の航空機の購入や整備用部品の調達が出来ずに機体の老朽化が進んでおり、代わって中古のロシア製航空機が投入されてきたが、航空事故も度々発生しており、その度にイラン政府はアメリカ政府の制裁を非難してきた。なお、2006年6月にイランの核開発問題について米欧等6カ国が、核開発を放棄するよう求めてイランに提示した包括見返り案の中にも民間航空機禁輸の解除が盛り込まれていたが、イランは、2006年8月にこの提案の受け入れを拒否した。
 マシュハドはイラン北東部に位置し、イランの国教であるイスラム教シーア派の寺院がある聖地の一つであることから、国内外から年間1000万人を越える巡礼者が訪れる都市である。
 イランエアツアーズ社はイラン航空の子会社である。
 事故機は1988年に製造された。


(C)2006 外山智士
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