事故詳細

(事故No,20050823a)

 2005年8月23日午後3時6分頃、ペルー・リマ発同国プカルパ経由同国イキトス行きTANSペルー航空(TANSは、Transportes Aereos Nacionales de Selvaの略)204便ボーイング737-244(OB-1809-P)が、着陸進入中に不時着を試みてプカルパ空港の手前約3kmのジャングルの湿地帯に墜落した。
 この事故で乗員6名、乗客92名、計98名のうち乗員4名、乗客36名、計40名が死亡し、乗員2名、乗客56名、計58名が救出された。生存者の多くは激しい火傷か、四肢のいずれかに骨折を負うなどの重傷を負っているが、中には無傷で助かった生存者もいた。乗客の国籍は、ペルー国籍の他、アメリカ11名、イタリア4名、スペイン1名、コロンビア1名、オーストラリア1名であった。
 事故機は午後2時24分にリマ空港を出発し、プカルパには午後3時17分頃到着予定であった。
 事故当時空港周辺には積乱雲が存在し、強い風雨に見舞われていた。墜落の直前、パイロットからプカルパ空港管制塔に強風と豪雨のため着陸は不可能との連絡があり、その後空港上空を数回旋回した後、通常の進入時の高度よりも低く飛行し、ギアダウンせずに不時着を試みた。墜落現場近くに高速道路が走っていたことから、この高速道路に不時着しようとしたとも、湿地帯に不時着しようとしたとも推測されている。事故機は接地時の衝撃で大きく二つに割れ、機体前方から出火、炎上した。
 生存者の証言によると、墜落数分前から、乱気流のために機体が激しく揺れ始め、激しくバウンドしながら墜落した。墜落前に乗客に対し、異常事態を知らせる機内アナウンス等はなかった。墜落後、生存者は激しく炎上する機体から懸命に逃れた。生存者は機体後部の乗客に多かった。機体後方では、墜落直後、客室乗務員がドアを開放し、脱出と機体から遠ざかるように乗客に指示した。脱出した乗客らは湿地帯を横切り最寄の道路まで避難した。墜落現場は湿地帯にあるため、捜索活動は難航した。
 フライト・データ・レコーダーとコックピット・ボイス・レコーダーは翌日までに現場から回収され、解析のためアメリカ・ワシントンのNTSBに送られた。
 墜落現場のプカルパは、人口150000人超のアマゾン川支流ウカヤリ川沿いの小都市である。なお、事故機の最終目的地イキトスは、同国北方のコロンビア・ブラジル国境にも近い観光地で、乗客には観光客が多く含まれていたと見られる。
 事故直後、TANSペルー航空のスポークスマンは、事故機に技術的な問題は発生していなかったとし、事故機がウインドシアに巻き込まれ不時着を試みた可能性を示唆した。
 TANSペルー航空はペルー国営の航空会社である。
 事故機は1981年に製造された。


(C)2005 外山智士
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