事故詳細

(事故No,20041014a)

 2004年10月14日午前3時56分、カナダ・オンタリオ州ウィンザー発同国ノバスコシア州ハリファックス経由スペイン・ザラゴザ行きMK Airlines1602便ボーイング747-244BSF(9G-MKJ)が、ハリファックス国際空港で離陸滑走中にオーバーランした。
 この事故で乗員7名全員が死亡した。乗員の国籍はイギリス4名、ジンバブエ2名、ドイツ1名であった。
 事故機は貨物便で、出発地のウィンザー・Locks-Bradley国際空港で芝生用トラクターやコンピュータ部品等を積載し、経由地のハリファックスでロブスターや魚などの海産物を53t追加して積載した。離陸滑走時ハリファックス国際空港の天候は、部分的に雲がかかり、弱い風が吹いていたが良好であった。事故機は離陸滑走中に長さ8800ft(2682m)の滑走路を走過して、機体尾部が脱落し、尾部以外の機体は空港のフェンスを突き破って森の木々をなぎ倒し、ばらばらになりながら約1km走ったところで停止した。機体は両翼が離断するなど大破して炎上した。周辺には破片が散乱した。
 目撃者によると、滑走路端付近で発生した巨大な火の玉が、やがて炎のうねりとなり立ち上る煙が雲のようになったという。別の目撃証言では、離陸時の引き起こしの際に尾部を滑走路面に2度接触させた後、尾部が折れて路面に火花を引きずっていたという。なお、証言によると事故機が送電線を切断したため空港施設に停電が発生した。他にも空港関係者からは、事故機は滑走路を端から使用せずに、駐機場に近いところから滑走路に入って途中から使用したために、離陸するのに必要な滑走距離を得られず、離陸するまでに滑走路を使い果たしたとの注目すべき証言も出ている。
 カナダ運輸安全委員会は事故翌日、事故機が最初に尾部を滑走路面に接触させたのは滑走路端まであと約245mの地点で、約170m先で再度接触し、滑走路端を走り過ぎて約300mの地点で尾部が航法施設のために築かれた土手に接触し脱落したことと、過積載が事故原因から除外されることなどを公表した。
 事故調査はイギリスとアメリカの事故調査当局も参加して行われる。なお、カナダの警察当局はテロなどの犯罪の可能性を捜査している。ボイスレコーダーとフライトレコーダーは17日までに事故現場から回収されたが、外部は猛火に晒され損傷を受けていた。なお、空港の保安用ビデオカメラに離陸滑走する事故機の姿が収められていたことが分かり、ビデオテープがカナダ運輸安全委員会に提供された。
 事故機は、9月に主要な整備と検査をインドネシア・ジャカルタで済ませたばかりであったが、その後事故の数週間前にエンジン2基を換装しており、エンジンの不具合の有無も事故調査の焦点となっている。
 MK Airlinesは、1990年に設立されたイギリス人ビジネスマンとジンバブエ人パイロットが共同で経営し、イギリスとガーナに拠点を置く航空会社である。本件は同社にとって4回目の航空事故であり、2回目の航空死亡事故となった。
 事故機は1980年に製造された。


(C)2005 外山智士
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