事故詳細

(事故No,20040210a)

 2004年2月10日午前11時40分、イラン・キシュ島発アラブ首長国連邦シャルジャ首長国・シャルジャ行きキシュ航空(本社:イラン)1770便フォッカー50(EP-LCA)が、シャルジャ国際空港へ最終進入中に空港から約3kmの地点に墜落した。
 この事故で乗員6名、乗客40名、計46名のうち、乗員6名、乗客37名、計43名が死亡し、乗客3名が重傷を負った。乗員の国籍は全員イランで、乗客の国籍は、13名がイラン、12名がインド、4名がエジプト、3名がフィリピン、2名がアルジェリア、1名がシリア、1名がナイジェリア、1名がカメルーン、1名がネパール、1名がバングラディッシュ、1名がスーダンなどであった。
 事故機は緊急着陸を要請した後、左に傾きながら急降下して墜落した。墜落直前、事故機のエンジン付近から異音が発していたとの目撃証言がある。
 事故機は、墜落の衝撃で反転し、大きく2つに割れ、機体前部を中心に大破し炎上した。最後部は原形を留めたが、他の部分はほほ完全に破壊された。火炎による遺体の損傷は激しく、身元の確認は困難な状況となった。死者のうち2名は救助された後、病院で死亡が確認された。墜落現場は、シャルジャ首長国とアジュマン首長国の境界線付近で、スーパーマーケットや学校、邸宅が建ち並ぶ地域であったが、建物を巻きこむことなく墜落したことから、パイロットが最後の瞬間まで、懸命に操縦したとの推測が為された。
 キシュ航空はイラン政府も出資するいわば半官半民の航空会社であるが、同国で初めての民間による経営の航空会社である。ペルシャ湾にあるキシュ島に本拠を置き、国内線と短距離国際線を運航しており、同国の観光産業に特別な地位を持っている。
 キシュ島は、イラン政府がリゾート地として開発を進めており、自由貿易地域の指定も行っている。なお、同島は湾岸諸国で働くアジア出身者を中心とする多くの外国人労働者が、UAEでのビザの更新に向かうためにより廉価なルートを求めて利用することでも知られている。
 事故機は1993年に製造された。


(C)2004 外山智士
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