事故詳細

(事故No,20030108a)

 2003年1月8日午後8時28分頃、トルコ・イスタンブール発同国ディヤルバクル行きトルコ航空634便アブロRJ100(TC-THG)がディヤルバクル空港に最終進入中に滑走路端の手前約40mの地点に墜落した。(墜落時刻については午後7時17分や午後8時10分とする報道もある)
 この事故で乗員5名、乗客75名、計80名のうち、乗員5名、乗客70名、計75名が死亡し、乗客5名が救出された。(死者には脳死と判定された2歳の幼児を含む。)外国籍の乗客の国籍はイギリス4名、アメリカ1名、オーストリア1名、フィンランド1名であった。
 事故機はイスタンブールを午後6時35分に出発し、午後8時30分にディヤルバクルに到着する予定であった。
 事故機から異常を伝える交信はなかった。墜落の衝撃で機体は2つに割れ、爆発炎上した。生存者の証言によると、墜落直後は乗客はほぼ全員生存していたとみられ、直後の爆発と火災により多くの人命が失われた。爆発により機体は3つの大きな残骸に分解し、破片は広範囲に飛散した。
 空港周辺は悪天候が続き、数日前から濃霧に覆われ欠航便が相次いでおり、事故当時も濃霧で視界は200m未満であった。空港にはILSは装備されていなかった。同空港の設備の不足については、数年前から航空機を危険に晒す可能性があることをトルコ軍が政府に主張していたと伝えられる。
 ディヤルバクル空港は軍民共用の空港で事故機は軍用区域に墜落した。同空港はイラク国境に近く、アメリカがイラク攻撃を行う場合に基地として使用することもありうるとみられ、アメリカとイラクの関係が緊迫している中での本件事故をテロではないかと見る見方もあったが、トルコ首相はテロの可能性を否定した。
 ディヤルバクルはトルコ南東部の主要都市で、シリア、イラク国境に近くクルド人居住地域の中心都市である。
 事故機は1994年に製造された。


(C)2003 外山智士
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