2002年7月28日午後3時25分、ロシア共和国モスクワ発同国サンクトペテルブルグ行きプルコボ航空(Pulkovo Aviation Enterprise 本社:ロシア)イリューシンIL-86(RA-86060)がモスクワのシェレメチェボ第1空港を離陸直後に空港の敷地のすぐ外側にある幹線道路近くの森に墜落した。
この事故で乗員16名のうち乗員14名が死亡し、乗員(客室乗務員)2名が重傷を負った。
事故機は離陸の2秒後に何らかの理由で水平安定板が最大限の-12度まで下げの位置にシフトし、異常な機首上げ姿勢となってコントロールを失った。その6秒後に機長が操縦桿を最大限に押し込んで機体のコントロールを取り戻そうとしたが、高度約200mで失速に陥り、回復することが出来ないまま左に機体を大きく傾けながら墜落した。機体は炎上したが、間もなく消し止められた。
事故機はモスクワでの整備を終え、プルコボ航空の本拠地であるサンクトペテルブルグにフェリー(回送)される途中であり、運航乗務員4名の他に客室乗務員訓練生が搭乗して訓練飛行を行っていた。
イリューシンIL-86は、長距離用機材で最大定員は350名、全長59.64mと最大のロシア製旅客機で、1980年の就航以来、本件が初の死亡事故となった。
事故機は1983年に製造された。