事故詳細

(事故No,20020415a)

 2002年4月15日午前11時23分頃、中国・北京発韓国・釜山行き中国国際航空129便ボーイング767-2J6ER(B-2552)が、釜山近郊の金海空港に着陸進入中に空港の北西約5Kmの慶尚南道金海市の丘陵地帯の神魚山(標高630m)の中腹付近の山林に墜落した。
この事故で乗員11名、乗客155名、計166名のうち乗員8名、乗客120名、計128名が死亡し、乗員3名、乗客35名、計38名が救助された。
 事故機は午前8時37分に北京を離陸し、11時40分に釜山に到着予定であった。
 事故当時、現場付近は厚い雲と濃い霧で視界が悪かった。現場近くにはアパートなどもあり、消防車など三百台以上が出動した。事故直後、同空港は悪天候のため離着陸を全面中止した。
 乗客の国籍は韓国135名、中国19名、ウズベキスタン1名で、乗員は全員が中国人。韓国人乗客の大半は中国旅行の帰路の団体客だった。
 現場付近は強い南風と強雨、霧による視界不良が重なり、同空港発着の国内線はほとんどが欠航するか仁川国際空港に振り替えられていた。事故当時金海空港は強い南風のため、通常の進入コースである南側からのアプローチが出来ず、滑走路を通常の逆側から使用し、北側からの進入経路を事故機に指示していた。北側からの進入経路は旋回と滑走路への進入を目視に頼るものであるうえに、事故発生時の視界は約3Kmしかなかった。
 韓国政府の航空事故調査委員会は2002年11月25日中間報告を発表し、事故機は悪天候による視界不良の中、滑走路や障害物が視認出来ないまま着陸態勢に入ったこと、墜落直前、副操縦士は機長に迅速な旋回を求めるとともに、高度の低下を何度も注意していたことなどが明らかになった。中間報告は機長の旋回着陸や飛行経験の不足によるミスを主な事故原因としている。
 機長は同空港における北側からの進入経路の進入経験がなかった。事故機は旋回中に墜落した。
 機体は三つに割れ、操縦席付近の機体前部と胴体中央部の一部は損傷が少なかった。尾翼側から山の斜面に墜落したため、機体後部の損傷が激しく、尾翼の破片は広範囲に散乱した。
 生存者は、機体前部座席の乗客が大半であった。機体尾部を山にこするように墜落したため前部は衝撃が弱かったものと推測され、加えて密生した樹木や雨で柔らかくなった土壌が緩衝材となり、前部座席の乗客らが多数生存し得たとみられている。
 事故機は1985年に製造された。


(C)2002-2003 外山智士
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