1997年8月6日午前1時42分頃、韓国・ソウル発アメリカ領グアム行き大韓航空801便ボーイング747-3B5(HL-7468)が、グアム・アガナ空港に最終進入中、空港から約5Kmの丘(Nimitz Hill)に墜落した。
この事故で乗員23名、乗客231名、計254名のうち、乗員22名、乗客206名、計228名が死亡した。
事故当時アガナ空港のILSはシステム更新のためグライドスロープが運用を停止しており、事故機はローカライザーを用いたVOR/DMEアプローチで非精密進入中(定められた地点〔ステップダウンフィックス〕で階段状に高度を下げるステップダウンアプローチ)であった。事故機は規定の高度2000ftと1440ftを2つともステップダウンフィックスに到達する前に割り込んで降下し、標高709ftのNimitz Hillの660ft付近に墜落した。NTSBは機長が最低安全高度やステップダウンフィックス等を含めた充分なアプローチブリーフィングをしなかったこと、自機の位置についての正しい認識がないまま進入を実行したこと、副操縦士、航空機関士が機長の操縦をモニターし、チェックし合うことを怠ったことを推定原因とした。
さらに、これらの原因を生んだ背景としてNTSBは、機長の疲労と大韓航空の不適切な乗員訓練(慣熟用ビデオ教材は、グアム島への進入に関しビジュアルアプローチ以外の進入方法や最終進入経路についての解説を欠いていた)を指摘した。なお、アガナ空港には、最低安全高度警報システム〔Minimum Safe Altitude Warning (MSAW) system〕が配備されていたが、誤報が多くレーダーの周囲54マイル以内では使用が禁じられていた。NTSBはこの点について、システムを適切に管理して役立てようとしなかったFAAの過失も指摘した。
事故機は1984年に製造された。
◎関連文献(刊行年順) |
著者名 | 書 名 | 出版社 | 刊行年 | 頁 数 |
加藤寛一郎 | 「墜落 第九巻 着陸、危険な時間」 | 講談社 | 2002年 | 150頁〜211頁 |