1996年7月17日午後8時19分頃、アメリカ・ニューヨーク発フランス・パリ行きトランスワールド航空800便ボーイング747-131(N93119)が、ニューヨークのケネディー国際空港を離陸して12分後、アメリカ・ニューヨーク州EAST MORICHESの沖合(ロングアイランド沖)を飛行中に爆発し大西洋に墜落した。この事故で乗員18名、乗客212名、計230名全員が死亡した。
当初は1週間後に開催される予定のアトランタ五輪を狙ったテロが疑われFBIも捜査に乗り出したが、NTSBによる徹底的な残骸の回収と調査の結果、飛行中に燃料タンクの外を通る回線がショートし、そばを通る燃料タンク監視システムに接続している電気回線を通じて高電圧がタンク内に流れ、空調ダクトの余熱により気化していた中央燃料タンク内の燃料に引火し爆発したことが判明した。事故当時、中央燃料タンクには13000ガロンの容量のうち50ガロンしか入っておらず、燃料が気化しやすい状況にあった。事故機は製造後25年を経た経年機で、配線の腐食がショートの原因と見られている。
NTSBは同種の事故の再発防止のため、2000年8月、FAAに次の4点を勧告した。
1.ボーイング社ほか航空機メーカーの設計仕様を調査し、燃料タンクで発火して爆発が起こる可能性を排除する
2.航空機の回線の設計を見直し、低電圧燃料タンクのワイヤが高電圧のワイヤと接触しないようにする
3.メーカー各社に対し、爆発を引き起こす可能性のある硫化銀を燃料タンク内の部品に使わないよう求める
4.各社のメンテナンス担当者の訓練を強化し、古くなった機体の配線上の問題を見分け、修理できるようにする
なお、この事故の原因については、アメリカ軍によるミサイル誤射説や、アラスカの軍事施設ハープの実験説など諸説が唱えられていた。
◎関連文献(刊行年順) |
著者名 | 書 名 | 出版社 | 刊行年 | 頁 数 |
デビッド・ゲロー | 「航空事故」(増改訂版) | イカロス出版 | 1997年 | 247頁〜249頁 |
メアリー・スキアヴォ | 「危ない飛行機が今日も飛んでいる(上)」 | 草思社 | 1999年 | 95頁〜96頁 |