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事故詳細

(事故No,19960511a)

 1996年5月11日午後2時13分頃、フロリダ州マイアミからジョージア州アトランタに向かっていたヴァリュージェット航空592便DC-9-32(N904VJ)が、離陸約10分後、火災のため空港から約19Kmのエヴァーグレーズの湿地帯に墜落した。
 この事故で運航乗務員2名、客室乗務員3名、乗客105名、計110名全員が死亡した。
 前方貨物室に積載されていた使用期限切れあるいは期限切れ間近の酸素発生装置(144本積載)が、登載時以降に起こった何らかのショックで作動し発熱して火災となった。事故機の前方貨物室はDクラスであったため、火災・煙検知機が装備されておらず、運航乗務員は早期に火災発生を知ることが出来なかった。この火災により機内の気温は華氏3000度に達したとされる。事故機は、運航乗務員のいずれかが操縦桿の上に倒れたために、高度10000フィートから地上まで一気に落下した。
 酸素発生装置は、バリュージェット航空の下請けの整備会社セイバーテックが他の機体から取り外したものであり、整備会社は、本来ならば直ちに廃棄しなければならないものを廃棄せず、安全のため取り付けなければならない安全キャップ(価格は僅か1個1セント以下 プラスチック製)を取り付けることもしなかった(なお、バリュージェットとの契約では、安全キャップはバリュージェット側が用意すべきものであった)。さらに、同社は社内の連絡ミスにより、これらの、未使用酸素発生装置を使用済みと誤った表示を添付して事故機に積載した。
 墜落現場一帯は沼地であったため、残骸等は完全に水没し、墜落現場の確認に日数を要した。

◎関連文献(刊行年順)
著者名書 名出版社刊行年頁 数
デビッド・ゲロー「航空事故」(増改訂版)イカロス出版1997年245頁〜246頁
メアリー・スキアヴォ「危ない飛行機が今日も飛んでいる(上))」草思社1999年7頁〜50頁、97〜99頁
マルコム・マクファーソン「墜落!の瞬間」青山出版社1999年283頁〜298頁
加藤寛一郎「墜落 第四巻 火災と爆破」講談社2001年129頁〜197頁
上記文献のうち現在も流通しているものについてはこちらで入手できます。
 


(C)1999-2003 外山智士
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