1995年3月31日午前9時10分頃、ルーマニア・ブカレスト発ベルギー・ブリュッセル行きTAROM航空371便エアバスA310-324(YR-LCC)が、ブカレストのオトペニ空港を離陸して3分後に空港の北約3Kmの地点に墜落した。この事故で乗員10名、乗客50名、計60名全員が死亡した。
オートスロットルが、離陸推力から上昇推力に減少させる際に、故障により右エンジンのスロットルレバーがほぼ離陸推力の状態で引っかかり、逆に左エンジンはアイドルまで推力が落ちてしまった。左右の推力に不均衡が生じたためローリングが発生し、170度以上のバンク、約80度の機首下げの姿勢となった。この間パイロットがオートスロットルの故障に気付くのに遅れたうえに、自動操縦のスイッチの入れ直しにより回復を図ろうとしたために、回復の機会を失い最終的には制御不能な状態に陥り、墜落に至った。
◎関連文献(刊行年順) |
著者名 | 書 名 | 出版社 | 刊行年 | 頁 数 |
デビッド・ゲロー | 「航空事故」(増改訂版) | イカロス出版 | 1997年 | 242頁 |
遠藤 浩 | 「ハイテク機はなぜ落ちるか」 | 講談社(ブルーバックス) | 1998年 | 117頁〜119頁 |