1994年10月31日午後4時頃、アメリカ・インディアナ州インディアナポリスから同国イリノイ州・シカゴ・オヘア空港に向かっていたアメリカン航空(アメリカン・イーグル航空:機体・運航ともアメリカのシモンズ航空が行っていた)4184便のATR72-212(N401AM)が、シカゴ近郊のインディアナ州ローズローンで40分以上に及ぶ空中待機中にトウモロコシ畑に墜落し、乗員4名、乗客64名、計68名全員が死亡した。
空中待機中に両翼前縁の除氷ブーツの効かない部分に着氷し、翼上面の気流の流れが乱れて、「エルロン逆効き」と呼ばれる現象が発生した。翼の異常な力を感知したコンピュータは直ちに自動操縦装置を切断したが、その時パイロットも大きな力で操縦輪を操作していたため、機体はロール転覆を起こし、バランスを失い、回復できないまま墜落に至ったものである。除氷ブーツの長さが短か過ぎるという設計上の欠陥が事故の原因であり、後にFAAは除氷ブーツを長くし、寒冷な天候下での同機種の運航を控えるよう航空各社に対策を命じた。
事故機はこの年の3月23日に納入されたばかりの新造機で、納入後はアメリカン航空の便として就航していた。なおATR72の事故はこの事故が初めてである。
◎関連文献(刊行年順) |
著者名 | 書 名 | 出版社 | 刊行年 | 頁 数 |
デイビッド・ゲロー | 「航空事故」(増改訂版) | イカロス出版 | 1997年 | 241頁〜242頁 |
メアリー・スキアヴォ | 「危ない飛行機が今日も飛んでいる(上)」 | 草思社 | 1999年 | 88頁〜89頁 |
マルコム・マクファーソン | 「墜落!の瞬間」 | 青山出版社 | 1999年 | 229頁〜244頁 |