1994年6月30日17時50分頃、エアバス・インダストリー社でテスト飛行中のエアバスA330-321(F-WWKH)が、フランスのツールズで離陸直後に墜落した。
この事故で乗員3名と同乗していたアリタリア航空職員4名の計7名全員が死亡した。
事故機は離陸直後のエンジン故障を想定した訓練中であった。離陸時の推力設定を大きくしすぎたことにより、エンジン停止を模した時の左右の推力のアンバランスが大きくなり過ぎ、方向の維持が困難になったこと、スタビライザートリムの設定が必要以上に機首上げ方向に設定されていたこと、離陸直後に設定した自動操縦のモード設定が不適切であったことなどが競合し、失速状態に陥り、回復できないまま墜落した。事故機は1993年10月14日に初飛行し、飛行時間は僅か362時間であった。
◎関連文献(刊行年順) |
著者名 | 書 名 | 出版社 | 刊行年 | 頁 数 |
遠藤 浩 | 「ハイテク機はなぜ落ちるか」 | 講談社 | 1998年 | 172頁〜178頁 |