1992年1月20日午後7時20分、フランスのリヨン発同国ストラスブール行きエールアンテール(ITF)(エールフランスの前身)148便エアバスA320-111(F-GGED)が、ストラスブール・アンツェイム空港に着陸進入中、空港手前約15Kmのサント・オディール山の山腹に墜落した。
この事故で、乗員6名、乗客90名、計96名のうち乗員5名、乗客82名、計87名が死亡し、乗員1名、乗客8名、計9名が重傷を負った。
パイロットが進入時に飛行制御ユニット(FCU)の飛行モードを設定する際、降下角度3.3度と入力すべきところに降下率毎分3300ftを入力したため、降下率が通常の5倍近い急降下になり墜落したと推測されている。二つの飛行モードは同じスイッチを併用しており、上下でそれぞれのモードを選択するようになっていた。事故後エアバス社は飛行制御ユニット(FCU)の操作パネルのデザインを誤入力しにくいものに変更し、新造機に搭載するとともに、既存の航空機の改修を行った。この事故の間接要因としては、副操縦士が機長に干渉し過ぎたことが指摘されている。なお、フランス運輸省は、本件を教訓にこれまで航空会社の任意としてきたGPWSの搭載を義務付けた。
◎関連文献(刊行年順) |
著者名 | 書 名 | 出版社 | 刊行年 | 頁 数 |
デビッド・ゲロー | 「航空事故」 | イカロス出版 | 1997年 | 226頁〜227頁 |
宮城雅子 | 「大事故の予兆をさぐる」 | 講談社(ブルーバックス) | 1998年 | 123頁〜124頁 |
遠藤 浩 | 「ハイテク機はなぜ落ちるか」 | 講談社(ブルーバックス) | 1998年 | 141頁〜145頁 |
加藤寛一郎 | 「墜落 第二巻 新システムの悪夢」 | 講談社 | 2001年 | 184頁〜195頁 |