事故詳細

(事故No,19900125a)

 1990年1月25日午後9時34分頃、コロンビアのボゴタから、メデリンを経由してニューヨークに向かっていたアビアンカ航空(本社:コロンビア)52便ボーイング707-321B(HK-2016)が、ニューヨークのジョン・エフ・ケネディー空港に着陸進入中、空港の北約24Kmのニューヨーク州コープ・ネックに墜落した。
事故機には運航乗務員3名、客室乗務員6名、乗客149名の計158名が搭乗していたが、乗員8名、乗客65名の73名が死亡し、81名が重傷を負い、4名が軽傷を負った。
 事故機は悪天候のため、墜落の2時間半前から3度にわたり合計77分間にも及ぶ空中待機をしており、パイロットも燃料切れの危険性を十分認識していたにもかかわらず、緊急事態を宣言しなかったために、2度目の着陸試行の際に燃料が切れ、エンジンが全てフレームアウトし墜落した。
 緊急事態を宣言しなかった原因としては、エマージェンシーとプライオリティーを同義語と考えていたクルーの英語力の不足が挙げられているが、交信を担当していた副操縦士は、燃料の窮状を強く主張するのをためらっており、NTSBは副操縦士の交信内容について完全に分裂していると述べている。副操縦士以外には事故機のパイロットの中に英語が分かる者はいなかった。
 この事故によりボーイング707型と720型の全損事故は通算100件となった。

◎関連文献(刊行年順)
著者名書 名出版社刊行年頁 数
デビッド・ゲロー「航空事故」(増改訂版)イカロス出版1997年220頁〜222頁
宮城雅子「大事故の予兆をさぐる」講談社(ブルーバックス)1998年151頁〜153頁
マルコム・マクファーソン「墜落!の瞬間」青山出版社1999年89頁〜108頁
加藤寛一郎「墜落 第十巻 人間のミス」講談社2002年101頁〜170頁
桑野偕紀
前田荘六
塚原利夫
「そのとき機長は 生死の決断」講談社2002年112頁〜138頁
上記文献のうち現在も流通しているものについてはこちらで入手できます。
 


(C)1999-2002 外山智士
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