1989年1月8日午後8時24分頃、イギリス・ロンドン発同国北アイルランド・ベルファスト行きブリティッシュ・ミッドランド航空(BMA)のボーイング737-400(G-OBME)が、イングランド中部のノッチンガム近くの高速自動車道路沿いの土手に墜落した。
この事故で乗員8名、乗客118名、計126名のうち、乗客47名が死亡し、乗員乗客計74名が重傷を負った。
事故機はエンジン1基の異常振動のため、事故現場近くのイーストミッドランズ空港に緊急着陸を試みていたが、滑走路の手前800mの地点に墜落した。
事故機は第1(左)エンジンに振動が発生していたが、副操縦士が第2(右)エンジンの異常を機長に報告したこと、機長も煙と臭気が空調を通じて漂ってきたことなどから、空調を担う右エンジンが故障したものと考え、誤って正常な右エンジンを停止したために墜落に至った。機長がこれまで乗務してきたボーイング737-400以外の航空機は、全て右エンジンが空調を担っていたが、ボーイング737-400は左右両方のエンジンを用いており、機長はこのことを知らなかった。墜落直前、機長は機内アナウンスで右エンジンにトラブルが発生したことを報告しており、客室内の乗員、乗客の多くは左エンジンの火災を目撃していた。機長の誤りに気付いた者も少なくなかったが、指摘する者はなかった。
左エンジンの異常振動は、ファンブレードが金属疲労により破損したことに起因していた。
◎関連文献(刊行年順) |
著者名 | 書 名 | 出版社 | 刊行年 | 頁 数 |
加藤寛一郎 | 「墜落 第五巻 エンジン損傷」 | 講談社 | 2001年 | 107頁〜163頁 |
デヴィッド・ビーティ | 「機長の真実」 | 講談社 | 2002年 | 258頁〜264頁 |