1987年8月16日午後8時46分頃、アメリカ・ミシガン州サギノー発ミシガン州デトロイト経由アリゾナ州フェニックス経由カリフォルニア州オレンジ・カウンティー行きノースウエスト航空255便DC-9-82(N312RC)が、デトロイト・メトロポリタン空港を離陸直後に空港から0.8Kmの同州ロムラスに墜落した。
この事故で乗員6名、乗客149名、計155名のうち乗員6名、乗客148名、計154名と地上の2名の合計156名が死亡し、乗客の4歳女児1名と地上の1名の計2名が重傷、地上の4名が軽傷を負った。
NTSBは、事故機のパイロットがタクシーチェックリストを行い忘れ、フラップとスラットを出し忘れたまま離陸したこと、フラップ等の設定の異常を知らせる作動音声警報装置(CAWS)もブレーカーが開いていて電力が供給されず作動しなかったことが主な事故原因であるとした。なお、事故当時空港ではウインドシアの注意報が発令されており、パイロットが離陸直後の失速警報に対し、ウインドシアへの対処法である機首上げを行ったことも事故の原因となった。
タクシーチェックリストを行い忘れた原因としては、タキシング開始後に使用滑走路の変更を管制塔から告げられ、離陸重量の確認などを急遽行わなくてはならなくなり、本来チェックリストを実施すべき時に滑走路変更の準備に忙殺されていた点が推測されている
本件事故後、CAWSの作動を確認する項目が同型機のチェックリストに追加された。NTSBは、CAWSの作動状況に関する警告灯の設置を勧告した。
◎関連文献(刊行年順) |
著者名 | 書 名 | 出版社 | 刊行年 | 頁 数 |
デビッド・ゲロー | 「航空事故(増改訂版)」 | イカロス出版 | 1997年 | 206頁〜208頁 |
加藤寛一郎 | 「墜落 第八巻 離陸、瞬時の決断」 | 講談社 | 2001年 | 68頁〜122頁 |