1985年12月12日午前6時46分頃、エジプト・カイロ発カナダ・ニューファンドランド島ガンダー経由アメリカ・ケンタッキー州フォート・キャンベル行きのアローエア(本社:アメリカ)のチャーター便DC-8-63PF(N950JW)が、ガンダー(Gander)国際空港を離陸時に失速して滑走路から約0.8Kmの地点に墜落した。
この事故で乗員8名、乗客248名、計256名全員が死亡した。
カナダ航空安全委員会(CASB)は、主翼前縁と上面に着氷していた可能性があること、積載貨物の重量の見積もりが甘く、実際の重量よりも少なくとも6400Kgは軽く計算していたこと、離陸速度の決定に際し、離陸重量を実際よりも16000Kg軽い重量で算出していたことなどを明らかにした。しかし、これらの事実が墜落の直接の原因になるかが委員会内部でも疑問視され、少数意見としてエンジンの逆噴射の作動や、火災の発生の可能性も指摘された。さらに犠牲者の遺体を調べたところ一酸化炭素や青酸ガスが検出されたため、テロの可能性も否定できなかった。
事故機の乗客はアメリカ軍の空挺部隊の隊員でシナイ半島での平和維持活動の帰路であった。
◎関連文献(刊行年順) |
著者名 | 書 名 | 出版社 | 刊行年 | 頁 数 |
デビッド・ゲロー | 「航空事故」(増改訂版) | イカロス出版 | 1997年 | 200頁〜202頁 |
デヴィッド・ビーティ | 「機長の真実」 | 講談社 | 2002年 | 315頁〜316頁 |