事故詳細

(事故No,19850822a)

 1985年8月22日午前6時12分頃、イギリス・マンチェスター発ギリシャ・コルフ島行きブリテッシュ・エアーツアーズKT28M便ボーイング737-236(G-BGJL)がマンチェスター空港を離陸滑走中、V1到達前に左エンジンに火災が発生、直ちに離陸を中止し、誘導路上に退避したが激しく炎上した。
 この事故で乗員6名、乗客131名、計137名のうち、乗員2名、乗客53名、計55名が死亡し、乗客15名が重傷を負った。
 エンジンの燃焼缶の一部が燃料タンクを破ったために火災が発生した。炎は機体停止後約1分で客室内に達し、この火のまわりの早さが多数の人命を奪った。死者の死因の多くは一酸化炭素やシアン化水素などの有毒ガス中毒であり、火災による焼死は僅か6名であった。不運にも、離陸中止を決定した段階で、パイロットはタイヤのパンクを疑い、強くブレーキがかけられなかったことが機体停止までの時間を長引かせ、避難の機会を奪う要因となった。さらに誘導路上に流れ出た燃料からも火炎が発生したこと、緊急停止した際に出火した左舷側が風上になったことなど不運が重なったことにより、火や煙のまわりは苛烈なものとなった。
 逃げ遅れて犠牲となった乗客が多数となった要因について事故調査報告書は、非常口への通路が約60cm幅と狭く、乗客が1列に並んで脱出することもままならなかったことや、主翼上の非常口への通路となる9列目と10列目の座席の間隔が僅か27cmしかなかったことなどを指摘している。
 事故機は1981年に製造された。

◎関連文献(刊行年順)
著者名書 名出版社刊行年頁 数
デビッド・ゲロー「航空事故」(増改訂版)イカロス出版1997年198頁〜200頁
加藤寛一郎「墜落 第四巻 火災と爆破」講談社2001年17頁〜56頁
デヴィッド・ビーティ「機長の真実」講談社2002年330頁〜334頁
上記文献のうち現在も流通しているものについてはこちらで入手できます。
 


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