1985年1月21日午前1時4分頃、アメリカ・ネバダ州リノ発同国ミネソタ州ミネアポリス行きギャラクシー航空203便ロッキード188Cエレクトラ(N5532)が、リノのカノン国際空港を離陸直後、空港から約1.5Kmの地点に墜落した。
この事故で乗員6名、乗客65名、計71名のうち乗員6名、乗客64名、計70名が死亡し、乗客1名が重傷を負った。事故機はギャンブルツアーのために旅行代理店が仕立てたチャーター便であった。
右翼第3エンジンの始動後に地上の係員は、第3エンジン始動用の圧縮空気の装着口から圧縮空気のホースを外そうとして外れずに難渋していた。これを見ていた地上作業の責任者はこの係員を助け、ホースを外した。しかし、係員も責任者も圧縮空気の装着口の扉を閉じ忘れてしまった。このため離陸時に気流の影響で装着口の扉と翼が当たり振動を起こした。機長は、エンジントラブルと誤信して、高度が僅か200フィートと充分な高度が確保されていない状況であるにもかかわらず、原因を突き止めようと4基全てのエンジン推力を最低上昇出力以下に絞り込んだ。さらにその間、副操縦士が、高度とスピードの推移に注意を払わなかったために失速状態に陥った。機長は墜落の6秒前にマックスパワーを指示したが、もはや墜落は避けられない状態になっていた。
なお、貨物及び旅客の配置から、事故機の重心は後方限界よりも後ろに偏っていたことも分かったが、直接の事故原因ではないとされた。機長は運航に3時間の遅れが出ていることを気にかけており、このことが、手順の逸脱やクルーコーディネーションの崩壊などの悪影響を伴って事故発生の誘因となった。
◎関連文献(刊行年順) |
著者名 | 書 名 | 出版社 | 刊行年 | 頁 数 |
デビッド・ゲロー | 「航空事故(増改訂版)」 | イカロス出版 | 1997年 | 188頁〜189頁 |
全日本空輸株式会社総合安全推進委員会 | 「Contributing Factors(Vol.1)」 | 全日本空輸 | 1998年 | 53頁〜70頁 |
加藤寛一郎 | 「墜落 第八巻 離陸、瞬時の決断」 | 講談社 | 2001年 | 44頁〜65頁 |