1983年12月7日午前9時40分頃、スペイン・マドリード発同国サンタンデル行きアビアコ航空(本社:スペイン)134便DC-9-32(EC-CGS)とスペイン・マドリード発イタリア・ローマ行きイベリア航空(本社:スペイン)350便ボーイング727-256(EC-CFJ)が、スペイン・マドリードのバラハス国際空港の滑走路上で衝突炎上した。
この事故でアビアコ航空機の乗員5名、乗客37名、計42名全員とイベリア航空機の乗員9名、乗客84名、計93名のうち乗員1名、乗客50名、計51名の計93名が死亡(邦人34名含む)し、イベリア航空機の乗員乗客30名が重軽傷を負い、12名が無事であった。
事故発生時、イベリア航空機は滑走路01にて離陸滑走中であったが、付近の誘導路を地上走行中のアビアコ航空機が滑走路01に誤って進入し、イベリア機からみて左方から右方に横切る形になった。イベリア機は既にV1に達しており、回避操作を行ったが、左主翼がアビアコ機に接触し左主脚と共に脱落し、滑走路上を擦りながら暴走し、機首を反転させた状態で停止した。
事故当時空港周辺は視程300m以下の濃霧であった。バラハス国際空港の誘導路は滑走路との交差に際しても停止線と灯火が設置されておらず、本件事故発生以前からパイロットからその危険性が指摘されていた。本件発生の翌年、バラハス国際空港は改修され、これらの点は改められた。
◎関連文献(刊行年順) |
著者名 | 書 名 | 出版社 | 刊行年 | 頁 数 |
デビッド・ゲロー | 「航空事故」(増改訂版) | イカロス出版 | 1997年 | 187頁〜188頁 |
宮城雅子 | 「大事故の予兆をさぐる」 | 講談社(ブルーバックス) | 1998年 | 144頁 |
デイヴィッド・オーウェン | 「墜落事故」 | 原書房 | 2003年 | 216頁〜217頁 |