1982年9月13日正午、スペイン・マドリード発同国マラガ経由アメリカ・ニューヨーク州ニューヨーク行きSpantax995便DC-10-30CF(EC-DEG)が、マラガ空港を離陸の際にオーバーランした。
この事故で乗員13名、乗客381名、計394名のうち乗員3名、乗客47名、計50名が死亡した。
事故機は国際チャーター便として130名の乗客を乗せマドリード・バラハス空港を午前9時36分に出発し、マラガ空港に午前10時20分に到着した。マラガ空港で残る251名の乗客が搭乗し、午前11時58分に管制塔から離陸許可を得た。離陸滑走中、速度がV1に達する直前に前輪のタイヤのトレッドが分離しだし、直後に振動が発生した。事故機はVRに達するまで加速を続け、機長が機首を引き起こしたが、その際の振動に機長は離陸後の機体の制御が困難になることを恐れ、離陸の中止を決断した。その時点で、速度は184ノット、滑走路は残り1295mであった。機長は逆噴射を行なおうとしたが、第3エンジンのレバーが手から滑り、推力が非対称となった。事故機は進行方向をやや左に変え、時速約110ノットで滑走路を走過し、ILS施設の建物に衝突し、第3エンジンが分離した。事故機はフェンスを突き破り、高速道路を横切り3台の車に損傷を与えた後、農業施設と衝突し右主翼の4分の3と右水平安定板を破損した。事故機は滑走路端を450m行き過ぎた地点で停止し、機体後部で火災が発生した。
事故調査の結果、前輪右車輪の張り直されたトレッドが部分的に分離したことによって激しい振動が発生したが、機長がトレッドの分離による振動であることを知る由もなかったことから、離陸を継続すれば制御できなくなると確信して速度がVRを超えているにも関わらず離陸中止を決断したことが事故原因であるとされた。なお、VRを超えた後に離陸中止を機長が決定したことについて事故調査委員会は、標準運航手順には従わないものの、この場合は合理的と考えられるとした。
事故機は1977年に製造された。