1982年7月9日午後4時9分頃、アメリカ・フロリダ州マイアミ発同国ニューオリンズ経由同国ネバダ州ラスベガス経由同国カリフォルニア州サンディエゴ行きパンアメリカン航空759便ボーイング727-235(N4737)が、ニューオリンズ国際空港を離陸直後、空港から約1.5Kmのルイジアナ州ケナーの住宅街に墜落した。
この事故で乗員8名、乗客137名、計145名全員と地上の8名の合計153名が死亡し、地上の16名が重傷を負った。
事故機は離陸直後にマイクロバーストによるウインドシアに遭遇したことで、38ノットもの急激な向かい風の減少に次いで毎秒7ftもの下降気流に見舞われた。パイロットはウインドシアの存在の可能性を認識し、通常よりも早い離陸速度を設定し、空調を止めてエンジン推力を確保するなど、ウインドシア対策に余念がなかったが、それにもかかわらず自然の猛威に打ち勝てなかった。
事故機は滑走路端から約800m地点の3本の立ち木の衝突し、バランスを崩し、さらに100m先の木々に接触して左主翼の一部とフラップを脱落させ、左に傾きながら滑走路端から約1.5Kmの地点に機体後部から墜落した。立ち木に衝突した時点で降下は止まっており、立ち木がなければかろうじて墜落を免れた可能性があった。
本件事故を契機に、マイクロバーストの危険性が広く知られるようになった。
事故機は1968年に製造された。
◎関連文献(刊行年順) |
著者名 | 書 名 | 出版社 | 刊行年 | 頁 数 |
デビッド・ゲロー | 「航空事故(増改訂版)」 | イカロス出版 | 1997年 | 179頁〜180頁 |
加藤寛一郎 | 「墜落 第六巻 風と雨の罠」 | 講談社 | 2001年 | 92頁〜153頁 |
ディヴィッド・オーウェン | 「墜落事故」 | 原書房 | 2003年 | 99頁〜104頁 |