事故詳細

(事故No,19820113a)

 1982年1月13日午後4時1分、ワシントン発フロリダ州タンパ経由同州フォートローダーデール行きエア・フロリダ90便ボーイング737-222(N62AF)が、ワシントン・ナショナル空港を離陸直後失速し、滑走路端から約1.2Kmのポトマック川に墜落した。
 この事故で乗員5名、乗客74名、計79名のうち、乗員4名、乗客70名、計74名と地上の4名の計78名が死亡し、客室乗務員1名、乗客4名、地上の1名の計6名が重傷、地上の4名が軽傷を負った。
 事故機の後部に乗っていた乗客が翼に雪が積もったまま離陸したのを目撃していた。
 事故機は、滑走路から車輪が離れた瞬間からスティックシェーカーが作動していたが、パイロットは機首の角度を抑えただけで、スラストレバーを最大出力にしなかった。パイロットは、エンジンのセンサーが凍結してコックピットの計器に実際よりも大きな値の誤ったエンジン出力が表示されていることに気付かなかった。
 NTSBは、エンジンのアンチアイスシステムを使用しなかったためエンジンのセンサーが氷で塞がれたこと、翼への降雪・着氷を知りつつそのまま離陸しようとしたこと、離陸段階で計器の数値の異常が分かっていたにもかかわらず離陸を中止しなかったことが事故の原因であるとした。また、墜落原因に関連する事項としては、除氷から離陸までの時間が長かったため、降雪にさらされたこと、ボーイング737の機体特性として翼前縁部への着氷により機首上げになりやすくなること、事故機の乗員は冬期の運航経験が乏しかったことが挙げられた。

◎関連文献(刊行年順)
著者名書 名出版社刊行年頁 数
デビッド・ゲロー「航空事故」(増改訂版)イカロス出版1997年175頁〜177頁
宮城雅子「大事故の予兆をさぐる」講談社(ブルーバックス)1998年133頁
デヴィッド・ビーティ「機長の真実 ―The Naked Pilot―」講談社2002年151頁〜158頁
デイヴィッド・オーウェン「墜落事故」原書房2003年127頁〜133頁
上記文献のうち現在も流通しているものについてはこちらで入手できます。
 


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