1977年4月4日午後4時19分、アメリカ・アラバマ州マッスルショウル発アラバマ州ハンツビル経由同国ジョージア州アトランタ行きサウザン航空242便DC-9-31(N1335U)が、巡航中にジョージア州ニューホープで高速道路上に墜落した。
この事故で乗員4名、乗客81名、計85名のうち、乗員2名、乗客61名、計63名と地上の9名の合計72名が死亡し、乗員2名、乗客20名、計22名と地上の2名の合計24名が重軽傷を負った(但し重傷者のうち地上の1名を含む2名は後に病院で死亡し、最終的な死者数は74名となった)。
事故機はジョージア州ローム近郊の上空高度14000ftを飛行中に激しい雨と大粒の雹が降る雷雲に突入し、まず左エンジンが、次いで30秒後には右エンジンが停止した。両エンジンとも故障した事故機は、その後7分以上、徐々に高度を下げながら不時着する場所を探していたが、最終的には障害物の多い山あいの高速道路を選ばざるを得なくなった。
両エンジン(JT8D-7A)が停止した原因として、乱気流に突入時に推力が絞られた状態で、激しい降雨がエンジン内に流入した場合に高圧部のローターの回転が低速になり推力を喪失する現象が同型のエンジンを用いた実験で確認された。
さらに、推力が減少したことに対応するためパイロットは当然の操作としてパワーレバーを押し出したが、高圧部のローターが低速になった状態でこの操作を行うことにより低圧タービンブレードが固定のベーンに衝突し、破片が高圧圧縮機に吸い込まれた。さらにパワーレバーが押し出されることによりオーバーヒートを起こし、もはや両エンジンとも再始動が不可能な状態に陥ってしまった。
パイロットはエンジンの再始動に気を取られ、緊急着陸する空港を考えるのが遅れ、貴重な高度を喪失した。やむを得ず不時着先に選んだ高速道路は、脇に立ち木や電柱があり、不時着には向かなかった。
気象状況が悪化していることは飛行前の段階で明らかであったが、パイロットは数時間前に同ルートを反対方向に飛行してきた時の印象から運航に問題ないと判断していた。機上の気象レーダーは、強雨のエリアに反射が妨げられてロームの上空は晴れ間であるかのように表示されており、この表示を鵜呑みにしてコースを選択した。パイロットは極度に疲労しており、そのこともパイロットの正常な判断を妨げたと見られている。
事故機は1971年に製造された。
◎関連文献(刊行年順) |
著者名 | 書 名 | 出版社 | 刊行年 | 頁 数 |
デビッド・ゲロー | 「航空事故」(増改訂版) | イカロス出版 | 1997年 | 145頁〜147頁 |
ディヴィッド・オーウェン | 「墜落事故」 | 原書房 | 2003年 | 105頁〜108頁 |