事故詳細

(事故No,19711002a)

 1971年10月2日午前11時10分頃、イギリス・ロンドン発オーストリア・ザルツブルグ行きBEA(英国欧州航空・・・英国航空の前身)706便ビッカーズ・バンガード951(G-APEC)が、ベルギー上空19000フィートを飛行中に空中分解を起こし、同国ヘントの西南西約15Kmのウェストフラーンデレン、アールセルに墜落した。
 この事故で乗員8名、乗客55名、計63名全員が死亡し、現場付近を走行中の自動車の運転手1名が事故機の破片で負傷した。
 事故機は機体後部圧力隔壁の接合部分が腐食していたために、隔壁が客室の与圧に耐えられなくなり崩壊、客室の与圧された空気が機体尾部に流入した。機体尾部は内外に気圧差が生じることが設計上考慮されておらず、内圧の上昇により構造部は破壊され、外板がはがれ、水平安定板が破壊した。バランスを失った事故機は操縦不能となり、急降下に陥りほぼ垂直の姿勢で墜落に至った。隔壁の腐食の原因としては、ラバトリーの汚水漏れが疑われたが、断定は出来なかった。
 ベルギーとイギリスの合同事故調査委員会は、実験の結果、尾翼外板のリベットを強化リベットに変更すれば、急減圧によっても尾翼外板が損壊しないことをつきとめ、隔壁の破損により尾翼部分に大量の与圧空気が流入した場合にも耐空性を保てるように備える必要性があることを指摘した。


(C)1999-2001 外山智士
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