1968年2月16日午後9時20分頃、イギリス領香港発台湾・台北行きCAT(Civil Air Transport:民航空運公司〔台湾〕)10便ボーイング727-92C(B-1018)が、台北空港に最終進入中、空港の手前14Kmの同国林口に墜落した。
この事故で乗員11名、乗客52名、計63名のうち乗員3名、乗客18名、計21名と地上の1名の合計22名が死亡した。
事故機は夜間、悪天候のもとILS進入中グライドスロープの下まで降下し、電波高度計が高度350ftを警告したにもかかわらず、高度の修正操作を行わないまま降下を続け、滑走路の10Km以上も手前に接地したが、そのまま200m走行し再度離陸しようとした。結局、木々や農家に次々と激突した。
事故当時事故機を操縦していたのは乗客として乗っていた同社のジェット輸送部門の責任者であり、乗務の許可も得ていないにもかかわらず、ボーイング727の操縦免許を持っていることから、上司の立場を利用して機長席に座り、高度計などの計器の確認を怠ったまま飛行したため、正規のコースより低くなっていることに気づかなかったと見られる。
CATは事故の翌日、全ての国際線の運航を停止し、同年4月には、会社の解散を決定した。
事故機は1966年に製造された。